内容説明
菊野脩、亀丸拓哉、河邑浩童の、小学五年生三人は、自分たちが住む地域を流れる川を、夏休みの自由研究の課題に選んだ。そこにはそれまでの三人にとって思いもよらなかった数々の驚くべき発見が隠されていたのである。ここに、少年たちの川をめぐる冒険が始まった。夏休みの少年たちの行動をとおして、川という身近な自然のすばらしさ、そして人間とのかかわりの大切さを生き生きと描いた感動の傑作長篇。
著者等紹介
川端裕人[カワバタヒロト]
1964年兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。東京大学教養学部(専攻は科学史、科学哲学)卒。日本テレビ入社後、科学技術庁、気象庁の担当記者を経て、1997年退社、フリーランスに。1998年『夏のロケット』でデビュー。以後、先端情報を駆使してさまざまなテーマに取り組んだ小説を発表するほか、自然と人間のかかわりを題材にしたノンフィクションも多数執筆している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rico
92
カワガキって響き、いいなあ。川は山から生まれ、その流域に恵みをもたらし、世界につながる。少年たちは川をめぐるひと夏の冒険を経て、見事カワガキ認定。友情や葛藤、大人との戦いと信頼、そして成長。夏休みの課題図書、かな。突っ込みどころは多々ある。小5でこれはスペック高すぎ!フツーの男子は蚊帳の外かい、とか、ここまでやったらさすがに大人も黙ってないだろ、とか。でも、夏の終わり、こんなおとぎ話を読むのも悪くない。少年たちは息子とほぼ同年代。ゆとり世代ど真ん中。あの頃の空気感が懐かしく、ちょっと胸が痛くなる。2020/08/27
へくとぱすかる
81
夏休みの冒険。子どもたちの間にも対立はあるけれど、もっと深刻なのは大人との対立。遠い昔に読んだ、ランサムのシロクマ号もそんな話だったかな? 読み始めたときは、日常の物語だったけど、現代日本だから、もっと大変な話に発展するわけである。長い物語で、しかも後半がすごく緊迫感をともなうので、ページをめくるのがもどかしいほどだった。転校生だった脩が視点人物だけど、ゴム丸や河童(ニックネームです)と、三人組としての共感を感じながら読んだ。手嶋くんも含めて、家族とのかかわり方もバックにして物語をふくらませていると思う。2021/08/18
りょうこ
46
とても良い本でした。一人一人のキャラもテンポも良いので一気に読めた。特に喇叭爺が良かったなぁ!カワガキってのもいい言葉だな。私はなにになるのかな?あっ...広瀬川河口か?(>∀<●)ノ2013/04/11
ヴェネツィア
36
4人の小学5年生「カワガキ」の成長物語。キー・コードは川。現代の物語だが、郷愁を誘う。それはおそらく、作者自身が「喇叭爺」に象徴される、川から失われたものに強い愛着を持って作品を書いているからだろう。終章は予想通りではあるが、さわやかな印象と読後感を残す。2012/03/05
❁Lei❁
28
近所の川に突如として現れた謎の生物。小学5年の脩は夏休みの自由研究として、その生物を友人とともに観察することに決めます。ときには喧嘩をしつつ、一丸となって生物の安全を見守ったり、生態系に関する知識を深め合ったりする、青春の一幕が描かれています。キャラクターが個性的すぎてスベっていたり、説教くささを感じるきらいはあります(日記に「キャハッ」って書くかいな)。だけど、そんなみんなの真っ直ぐさや、確かな知識に裏打ちされた自然描写、カヤックでの冒険など、心に残るシーンも多くありました。2025/03/04