内容説明
本書は「ばら戦争」最中の1461‐63年頃、王座裁判所主席裁判官の経験もあるジョン・フォーテスキューによって、ランカスター朝ヘンリ六世の権原を擁護するという実践的意図の下に書かれたものである。「被相続人たる国王に男子直系卑属が存在しない場合に、娘およびその子たる孫と弟のいずれが王位継承権を有するか」という―現実の王位継承争いがその応用問題となるような―形で問題を設定し、自然法を準拠法として「弟」に有利な結論を導き出す。自然法そのものを主題とした第一部と、自然法を王位継承に適用した第二部の二部構成。詳細な訳註を付した、19世紀の刊本と16世紀の残存写本(Lambeth MS 262)の厳密な校合に基づく正確な版。
目次
第1部 自然法の本質について(ここで著者は、その執筆の理由を示す。;これは法に属する問題ではあるが、著者は他の諸分野の援助を拒むものではない。;この問題の解決は、カノン法あるいはローマ法以外の法を必要とする。;モーセの手を介して律法が与えられるまで、自然法のみが世界を支配していた。 ほか)
第2部 至高の諸王国における継承権について(提起された問題において正義が裁判官として選ばれ、立てられる。;王の娘の権原;王の娘が主張した最初のことに対する王の孫の返答;王の娘が主張した第二のことに対する“王の”孫の返答 ほか)
著者等紹介
直江眞一[ナオエシンイチ]
1952年東京都生まれ。東北大学法学部卒業、同大学院法学研究科修士課程修了後、東北大学法学部助手、同教養部講師、助教授を経て、93年より九州大学法学部助教授、95年より同教授。現在、九州大学大学院法学研究院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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