内容説明
神学の革新運動をになうトマスが諸学と神学、理性と信仰の関係を基礎づけ、新しい学問と認識の可能性を示したマニフェスト。若きトマスの強靱な分析力と瑞々しい精神が織りあげたこの注解は、後に「神学大全」へと結実する彼の根本思想が凝縮しており、硬直したスコラ哲学理解の弊害を克服して、ヨーロッパ思想への新しい扉を開く。訳者によるボエティウスとトマスの的確な分析は、読者の理解を助ける貴重な業績。
目次
第1部 研究編 トマス・アクィナスによる神学革新―『ボエティウス「三位一体論」に寄せて』の歴史的意義(神秘と学知;「新しい神学」への道程―全六問題の歴史的位置)
第2部 翻訳編 トマス・アクィナス『ボエティウス「三位一体論」に寄せて』(神的ことがらの認識について;神の認識の顕示について;信仰の推賞に関することがらについて;複数性の原因に関することがらについて;観照的学の区分について;ボエティウスが観照的諸学に帰属させている諸方法について)