内容説明
本書は『史記』と唐代の歴史理論の精華である『史通』を軸にして、中国の歴史思想と歴史叙述がいかなる時代的・思想的要請により形成され、厳密な史料批判がなぜ可能であったのかを明らかにすることにより、中国文化の中核を担う歴史の精神とは何かを総合的に明らかにした第一級の概説である。
目次
第1章 歴史叙述の形成(歴史説話の揺籃;歴史叙述の淵源 ほか)
第2章 司馬遷父子と『史記』(司馬談と司馬遷;司馬談の著述 ほか)
第3章 歴史叙述の発展(班固父子と『漢書』;荀悦と『前漢記』 ほか)
第4章 劉知幾と『史通』(初唐の修史事業;『史通』の成立 ほか)
感想・レビュー
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山がち
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「史記」というのは知っていたが、「史通」というのは知らなかった。ある意味で、「史記」よりも方法論というものを意識して、歴史書を作ろうとしていたということ、歴史叙述の業務にどうしても腐敗が入り込んでしまうことなどを考えると、確かにそうならざるを得ないのだろう。しかしながら、「史記」も紀伝体というものを生み出したという点では、間違いなく歴史叙述に意識を置いたものであるというのも考えなくてはならないだろう。この二つの歴史書に横たわる違いというのを、残念ながら私の読解力では見いだせなかったのがとても残念であった。2013/07/27