内容説明
エックハルトはラテン語とドイツ語を通して自らの信仰と学問を表現してきた。従来、エックハルト研究ではドイツ語著作への関心が強かったが、その思想内容の豊かさと概念の厳密さから思想研究としてはラテン語著作のほうがより重視されるべきであるとの認識が世界的に強まっている。ラテン語著作のなかでも重要なものとされる「ラテン語説教集」はアリストテレスを初め多くの権威や当代の説教理論に基づいてエックハルトの高度な思想が平易に説かれた貴重な作品である。本書は全56編の説教の精確な翻訳と詳細な註、さらに彼の思想の中核を形成する六つの主題に考察を加えた本格的な註解である。読者は本書を通じて哲学者エックハルトとの新しい出会いを経験するに違いない。
目次
第1部 研究篇(聖書解釈について;愛について;神愛について;恩寵について;秘蹟について;三位一体について)
第2部 翻訳篇(ラテン語説教の概要;ラテン語説教および註(全56篇))