出版社内容情報
【解説】
傷寒論は古今東西に類なき治療学の最高指針と高く評価される。原文には厳密な校勘を加え,訳読と懇切な訳注と臨床的な解を施し,臨床の眼を添えた。付録に康平傷寒論全文。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねこぽん
0
現代を代表する漢方医学者による傷寒論の解説です。傷寒論の著者である張機(字仲景)は後漢末(西暦200年前)長沙郡(現湖南省)の太守だったといわれています。当時は疫病により中国人口が1000万人程度まで激減した時代であり、張機も多くの親族を「傷寒(外感熱病: 現代中国語では特にチフスをさす)」で失っており、医学を志しました。興味深いことに長沙は赤壁(208年の曹操vs.孫権・劉備の戦の舞台)に比較的近く、曹操軍の敗因となった疫病も同じかもしれません。病原体の概念がない時代における渾心の内科診断学書です。