出版社内容情報
【解説】
NHKスペシャル「赤紙が来た村」として放送された番組の出版化。「赤紙」=召集令状の驚くべきメカニズムを,昭和史と重ねつつ描く。戦争に送った側と送られた側からも描く。
内容説明
NHKスペシャル「赤紙が来た村」。247通の召集令状が語る戦争の記憶。
目次
プロローグ 赤紙って何だろう
第1章 赤紙が来る日
第2章 赤紙のメカニズム
第3章 赤紙と国家総動員体制
第4章 名もなき兵士の声
エピローグ 赤紙は過去のものか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nnpusnsn1945
45
図書館にて読了。赤紙を扱った富山県庄下村の兵事係や資料を元に、徴兵制度を描いている。志願兵や学徒動員、参謀本部や大本営、郷土部隊についても解説されており、日本の軍事史を知るにはお勧めの本。赤紙を巡る不正や健康欄をめぐる人間模様、そして将兵の話も興味深い。なお、協力者には故大江志乃夫氏が関わっている。本の元になった番組がアーカイブ化されて無料閲覧出来ることを願う。2022/07/30
たまきら
37
「赤紙っていうのがあってね…」戦争の話を聞いていると最初に出てくることば・赤紙。この本では名高い「赤紙」がお手元に届くまでの役所の役割を、豊富な証言や資料で紹介している本です。…でも読みながら思ったのは、「そう、NHK取材班って、こういう仕事をしていたよ」という思いでした。メディアのいまにげんなり。1997年出版。2022/12/16
aof
5
役所の戦争って感じがして、一気に読んだ。 そこで描かれる政府と地方と庶民の関係性に、なんていうか、内容は変わっても、今もおんなじことが繰り返されているのではとほんとにうんざりした。 結局、赤紙を届けるとはどういうことなのか、国の参謀本部の人たちはわからないんだろうな。赤紙を届けた人の遺骨を受け取った役場の人の悲痛さがよくわかる。 末端にいる人に現実が突きつけられて、命令する人たちにはその顔が見えていないって、ほんと今も同じだよなぁ。2021/08/28
兵衛介
5
終戦直後の焼却命令を実行せず唯一完全な形で残されていたある小村の役場の兵事資料を題材に取ったNHKスペシャルを元に再構成された本であるが、旧軍の動員体制に関して深く取材してあり軍事・ロジスティクスに興味がある人も一読の価値があるかも。2011/07/02
tecchan
2
20年前出版の古本。NHK番組の書籍化。我が国の戦争において、兵隊召集(赤紙)がどのように行われたかを、富山県で発見された役場資料などに基づき明らかにする。軍関係資料は敗戦直後ほとんど焼却処分されたが、役場兵事係の独断で奇跡的に残された。参謀本部、警察、市町役場と召集がどのように企画・決定され、召集者に伝えられたか、当事者の証言も交え、戦争の非情さを明らかにしている。2018/10/23