出版社内容情報
【解説】
文字を拒んだケルトの人々は、自分たちに喜びと誇りを与える物語を、詩人や語り部が主となって口頭で伝えてきた。それらの物語は明らかにケルトの歴史・宗教・法・道徳・価値観・風習を反映している。現代のケルトの地、アイルランド、ウェールズ、コンウォール、ブルターニュに伝わる主要な物語十九編のさまざまなバージョンを、幼時から親しんできた作者が集大成した。固有名詞の表記をはじめ、決定版をめざす。
内容説明
螺旋的再生の構造が映しだすケルトの世界と夢と愛のかたち。
目次
ケルト伝説への誘い
第1部 アイルランドの伝説(アイルランド国造りの神話―『来寇の書』;勝者の分け前―ブリクリウの宴 ほか)
第2部 「牛捕り伝説」の白眉―「クアルンゲの牛捕り」
第3部 ウェールズの伝説(ダヴェドの領主;シールの娘ブラヌウェン ほか)
第4部 「アーサー王伝説」の系譜―「トリスタンとイゾルデ」
「ケルト」の読み方
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koning
13
ディレイニーの翻訳なのだけれど、ケルト諸語をちゃんとやってる皆さんの勉強会から出て来ただけあって固有名詞の違和感が無い(笑)<いやウェールズ語から見ると有り得ない読み方の本が多くてそれだけで萎えてたんすよ。半分強はアイルランドの、残りをマビノギとトリスタンとイゾルデという分量。エンターテイメントなノリで読むとがっかりされちゃうかもしれないけれど、変に脚色された何かじゃないものを読むとっかかりとしては最高にいいんじゃないかな?と思う。2013/11/03
rinakko
6
再読。ケルトの様々なイメージ(繰り返す螺旋的な再生、色鮮やかな外貌、知的ゲーム、騎士道や粋な武者、誇り高さ、そしてその其々が大仰…)を堪能できる、よく纏まった一冊である(抜けているエピソードが割とあるらしいけれど読み易い)。「来寇の書」から読めるのも嬉しい。とりわけ好きな話は、美しい紫の蝶からの転生を繰り返すエーダインと王の悲恋を描く「エーダインへの求婚」、生まれる前から悲劇的な行く末を予言された美女デルドレをめぐる「デルドレとウシュネの息子たち」。「クアルンゲの牛捕り」は流石の面白さ。2025/03/07
rinakko
3
纏まったものを読みたくて手に取った。一話ずつが長過ぎず、読みやすくてよかった。2014/09/05
いり子
2
詠み終わり。多分原本を大事にしているのだろうなぁ、数字や品物の羅列とか同じようなことの繰り返しが多くて、このあたりは日本の『古事記』とか『うつほ物語』とかを彷彿とさせる。クーフリンの話がおもしろかった!西洋史を知らないのでこちらのサイトhttp://celtnofue.com/s-history-top.html片手に読みました。ケルト装飾って美しいなと思ったのですが、アルフォンスミュシャもケルト装飾を取り入れていたんですね。ますますケルトに興味がわきました。2013/10/14
ゆう
1
登場人物の服装の色鮮やかさや、人を動物に変えたり、死者を蘇らす魔法の描写が素晴らしかった。 人も動物もユーモラスでどこか可愛らしく、ケルトの文化や芸術をもっと知ってみたくなった。2020/09/13