出版社内容情報
古代から、国家と海賊が入り乱れた名高いカリブ海の死闘まで、歴史のなかの海賊たちを活写する。
内容説明
複雑な海賊の歴史を、ヨーロッパ、アメリカ、アジアにわたり、しかも古代から現代まで(現在でも海賊はいる!)くまなく叙述した本書は、まさに「海賊入門」として推奨に値すると言えよう。
著者等紹介
ジャカン,フィリップ[ジャカン,フィリップ][Jacquin,Philippe]
リヨン第2大学人類学教授。北アメリカの毛皮猟師やアンティル諸島の海賊など自然とともに生きるマージナル・グループを調査の対象とする。フランス沿岸地帯の住民やアンティル諸島の海賊に関しても、数多くの論文を発表している
増田義郎[マスダヨシオ]
1928年、東京生まれ。東京大学教授を経て、現在、東京大学名誉教授。専攻は文化人類学、イベリアおよびイベロアメリカ文化史
後藤淳一[ゴトウジュンイチ]
1964年生まれ。中央大学文学研究科博士課程前期修了。仏文翻訳者
及川美枝[オイカワミエ]
1947年生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猫丸にゃん太
37
カリブ・地中海・アジアの海賊の歴史について豊富な資料を用いながら解説した本。すでにギリシャ神話の時代には存在したようで、海岸で寝ていた豊穣とブドウ酒と酩酊の神ディオニューソスを王子だと勘違いして誘拐し、船上で目を覚ました彼の力に恐れおののいてイルカになって海に逃げ、ポセイドの寵愛を受けたそうな。それ以降も歴史に海賊は度々登場し、敵国の戦力を削ぐ為に保護する国まであったそうだ。また戦利品を闇商人に安く買い叩かれて貧乏する海賊も多かった。他にも海賊の生活や規則など興味深いことが沢山あり面白い。2015/05/08
NORI
21
ギリシア神話に登場する海賊から始まって、人類史における海賊のトータル解説書。大航海時代は当然のこと、中国の海賊なども解説。ただ、どうせならば、村上海賊など日本国内の海賊にも触れて欲しかった。 自国利益に繋がる海賊には私掠艦隊としての権利を与え、そうでない者は縛り首。国益のための駒でしかなく、現代の戦争で暗躍する傭兵部隊と大差ない。陸か海かというだけで、人類は数百年前と同じことをやっている。海賊になるきっかけも、貧困だったり、口先で騙されて送り込まれたり、犯罪組織に取り込まれていく現代の人たちと重なる。2024/06/20
白義
17
海賊とはギリシャ神話の時代から神を誘拐する不遜さと神に愛される詩情の両義性を生きた存在だった、と言う印象的な始まりが示唆されるように、時の海上覇権の動向と共に活動する経済、軍事的な現実を描きながら、同時に数々の図録を散りばめそのアナーキーな中のユートピア性、文学的イメージの形成もたどっている。最後にこの現代において、世界的に海賊が再び急増しているという指摘は、まさに社会の矛盾や時の政治権力の隙間にこの反乱者たちが現れる事の証明のようだ。ちょっとまとまりがないが絵画などビジュアル資料の豊富さでは類書1だろう2015/09/21
雪風のねこ@(=´ω`=)
5
紀元前から清国没落まで、風刺画を多数交えて解説。階級制度から逃れて自由な海賊に志願したという話も解るが、それほど海賊の生き様が華々しく格好良かった訳でもない。財力、国家などによって(非合理的に)使い潰される戦力でもあったからだ。それ故、海賊は捕まったら口封じとして処刑されたのではなかろうか。一方、海賊の人手を募る為、華々しさを目立たせたのではなかろうか…とも考えられる。船の機械化、国家戦力の大組織化、戦域の拡大などで意識しづらかったけど、ドイツ海軍の通商破壊は歴とした私掠船、海賊と同じ行為だよね。2015/04/12
minamimi
3
薄い本なのですぐ読めるけど、少し分かりづらい。私の歴史の知識が足りないせいもあると思う。植民地主義の時代に、敵国の航路を邪魔するために海賊を国が雇っていた(海賊行為にお墨付きを与えていた)というのに驚いた。でも旗色が変わるともちろん使い捨てにされるのだけれど。2022/06/10