出版社内容情報
【解説】
オリンピックに似た大祭典,質の高い工芸。2900年前のイタリア半島で栄えたエトルリア文明が築きあげ,ローマへと引き継いだものは何か。・愛の楽園・エトルリアの姿を再現。
目次
第1章 エトルリア研究史
第2章 国家の誕生へ向かって
第3章 最盛期を迎えたエトルリア
第4章 栄華と衰退
第5章 エトルリアの日常生活
第6章 ローマ化への道
資料篇(エトルリア美術史;古代の文献;ロマンチックな墓;考古学の潜望鏡;オリンピック競技の墓;エトルリア語の概略;エトルリアの贋作)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mahiro
11
ローマが支配するまでイタリアに住んでいたエトルリア人達、彼等は独自の宗教や文化を持ちながらギリシャの影響を受けローマ人と戦い破れ結局はローマの中に吸収されていくような形で消えていったが、ローマ人の服装や宗教や住居の形式などローマ文明のあちこちにその痕跡を残した。エトルリア文明に興味はあるがこの本を読んでも分からない所は沢山ある。エトルリアの遺跡や遺物の残るイタリアの街に行ってみたい、古代ローマ展で見た粟粒より小さい金のビーズで飾られたエトルリアの装飾品は美しかった。2017/11/21
印度 洋一郎
5
古代ローマ以前にイタリア半島を支配していた民族、エトルリア人の文明を豊富なカラー図版で紹介している。決して大きな勢力では無かったが、農業生産力と豊かな地下資源で経済発展を遂げた商業民族だったらしい。一時期は同じような通商国家カルタゴと組んで、地中海経済圏で重きをなしたが、ギリシャ人に制海権を奪われ、支配下にあったローマ人の下剋上で衰退していく。結局はローマに吸収され、同化して消滅してしまったが、古代ローマ文明は、実はエトルリア文明から多くを学んでいる弟分のような存在だ。この文明が注目される理由はそこにある2013/05/19
OKKO (o▽n)v 終活中
3
イタリアルネサンスについて初めてマジ勉強して知ったキーワード、それがエトルリア。研究テーマに少し関わるので焦っていたが、やっと読了。◆紀元前10世紀ごろから何だかんだで数百年間栄えたエトルリア文化。その特徴はなんといっても、独特の死生観。8月にヴィッラ・ジュリアであれこれ見るのが楽しみ。◆当面は一般的な知識だけで十分事足りるので、とりあえず私のエトルリア学習はこれでオシマイ。◆現代のトスカーナの地に、エトルリア魂がどのように息づいてるのかね。短期滞在では到底わからないだろうけれども気になるね。2013/06/23
黒胡麻
2
ローマ以前の古代イタリアで繁栄したエトルリア文明。やがてローマに征服、吸収されたが文化などで大きな影響を与えた。古墳の壁画や彫像などのセンスが独特で、ギリシア、ローマほど洗練されておらず素朴で大らかな感じがする。音楽を愛し、奴隷を鞭打つのにもパン生地をこねるのにもボクシングにも伴奏を求めたというのが面白かった。2025/02/23
びっぐすとん
2
図書館本。「知の再発見」シリーズ。エトルリアは世界史でも習わないし良く知らなかったけど、ローマ帝国以前にイタリアで栄えた文明で文字はまだ全部は解読されていないそう。ローマの町の原型を造り、ガリア人にワインを教え、文明崩壊後も大きな影響を与えたそうだ。美術品はギリシア的や東方的なものもあり、フォルムの珍しい像など、エトルリア人の源流がどこなのか気になる。古代の文明で消えてしまった民族を知るたび、彼らがどこからきてどこへ行ってしまったのか考えてしまうのは島国に住んでいて、民族大移動と無縁の日本人だからかな。2016/05/25