出版社内容情報
列強が角逐する激動の18世紀ヨーロッパに生き、40年にわたってハプスブルク帝国に君臨したマリア・テレジア。
その治世は、多くの国・地域からなる「複合君主政国家」の現実と「絶対主義」的な支配理念とが絶えず衝突してせめぎ合う、波乱に満ちたものであった。
「正義と慈愛」を掲げ、試行錯誤を重ねながら統治した「女帝」の生涯を、政治・社会・文化の諸相、そして同じ時代を生きた人びとの姿と絡めて描く。
マリア・テレジアとその時代を知るうえで必読の一冊。
内容説明
列強が角逐する激動の18世紀ヨーロッパに生き、40年にわたってハプスブルク帝国に君臨したマリア・テレジア。その治世は、多くの国・地域からなる「複合君主政国家」の現実と「絶対主義」的な支配理念とが絶えず衝突してせめぎ合う、波乱に満ちたものであった。「正義と慈愛」を掲げ、試行錯誤を重ねながら統治した「女帝」の生涯を、政治・社会・文化の諸相、そして同じ時代を生きた人びとの姿と絡めて描く。
目次
第1章 曙光
第2章 戦乱
第3章 「革命」
第4章 再戦
第5章 家族の肖像
第6章 三頭体制
第7章 「私たちの啓蒙された時代」
第8章 落日と残照
著者等紹介
岩〓周一[イワサキシュウイチ]
京都産業大学外国語学部ヨーロッパ言語学科ドイツ語専攻教授。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程総合社会科学研究専攻修了。博士(社会学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
15
マリア・テレジアの生涯を追うとともに、同時代を生きた政治家や軍人、文化人を多数紹介することで、その時代性や彼女が治めたハプスブルク君主国を描いた一冊。内では良き母、良き妻を第一に考える保守的なクリスチャンなのにも関わらず、父から受け継いだハプスブルク領の君主として強烈な自覚を持っているのが印象的。夫にして神聖ローマ皇帝のフランツ1世とも良き夫婦でありながら、統治の分野では干渉を許さない緊張関係が面白い。またユダヤ人迫害、検閲制度の拡充など負の面も多く、彼女の母性的なパターナリズム支配の限界も指摘している。2023/12/11
ジュンジュン
13
マリアテレジアと言えば、啓蒙専制君主、マリーアントワネットの母など、偉大な女帝のイメージがすぐ浮かぶ。その実像を明らかにする為、生きた時代とともに彼女の生涯を跡付ける。時は絶対王政の残滓と進取の気性が同居する18世紀半ば。彼女にも秩序や価値観を固守しようとする意志と、新時代(啓蒙主義)の息吹を取り込める柔軟性を併せ持つ。その歩みは立ち止まる事も走る事もしない。一言で言うなら「漸進」。2024/01/04
お抹茶
3
同時代の皇族や外交官の証言も取り入れながらマリア・テレジアの生涯を辿りつつ,治世で花咲いた貴族のサロンや農村の様子にも言及する。オーストリア継承戦争をはじめ各国からの侵略に苦慮し,愛していた夫・皇帝フランツ一世との死別,息子ヨーゼフとの政見の違いなど,苦労の絶えない生涯だった。卓越した統治能力と没我的な献身で「良き時代」を築いた過程を述べる一方,キリスト教の伝統的社会観に基づき,身分・上下関係にも厳格で,敬虔なカトリックのドイツ人という峻厳な倫理意識でユダヤ人やプロテスタントを迫害したいう側面もあった。2023/12/25
takao
1
ふむ2024/07/28