出版社内容情報
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1939年から1940年の冬に行われた、イグナティウス・ロヨラの『霊操』に関するユングの全講義を初めて公開。
本書では、ユングが『霊操』に見られる精神修養のプロセスを詳細に分析、この聖人の自伝的著作に描かれたヴィジョンを心理学的に解釈し、ユング心理学の中核概念であるアクティブ・イマジネーションとどのように結びつくのかを論じている。
宗教的修行と心理療法はしばしば別のものと見なされがちだが、それらの類似点と相違点を浮き彫りにしながら、精神の変容という共通のテーマのもとに比較が進められる。また、ユングはロヨラの修行法を東洋の瞑想やヨガ、さらには西洋の錬金術の伝統と並べて考察し、人間の心の成長を促す多様な手法の本質に迫る。
ユング思想の根幹には、キリスト教との精神的な対決というテーマがあるが、それを明示的にわかりやすく語ったものは、数少ない。本書はキリスト教とユング心理学の接点を探る稀少な資料であり、宗教的伝統と心理療法の関係を深く理解するための格好の手引きとなるだろう。ユングの思想の変遷を知る上でも欠かせない一冊である。
内容説明
1939年から1940年の冬にかけて行われた『霊操』に関する講義の記録。キリスト教の精神修養とアクティブ・イマジネーションとの類似点についてのユングの研究の集大成。ユングの思想の進化を知るためにも、その後の著作を理解するためにも、重要な鍵を提供してくれる書。ETH(スイス連邦工科大学)で一般聴衆向けに行われた講義の記録。イエズス会の精神的実践の心理学に関するユングの講義を初めて要約なしに収録。ユングの概念と心理学用語を用いつつ、ロヨラの『霊操』を東洋の瞑想、ヨーガに匹敵するキリスト教の実践の主要な例として紹介。ユングの当時の語り口が伝わってくる「わかりやすい」心理学。編者による序論や、監修者のまえがき・訳者の解題などでさらにわかりやすく。
目次
一九三九 夏学期(第8講;第9講;第10講;第11講)
一九三九/一九四〇 冬学期(第1講;第2講;第3講;第4講;第5講 ほか)
一九四〇/一九四一 冬学期(第3講)
著者等紹介
ユング,カール・グスタフ[ユング,カールグスタフ] [Jung,Carl Gustav]
1875~1961。スイス生まれの精神科医。S・フロイトと並ぶ深層心理学の開拓者。ユング自身はみずからの体系を分析心理学と称し、集合的無意識、元型といった概念を提唱して、単なる一個人の枠にとどまらない壮大な心の見取り図を示した。約二〇冊におよぶ『著作集』(日本教文社)の他に、長らく門外不出の扱いだった『赤の書』(創元社)も公刊され、世界に衝撃を与えた。また2018年からはユングの壮年期の仕事であるスイス連邦工科大学(ETH)講義の公開が始まり、第一巻『近代心理学の歴史』、第二巻『意識と無意識』、第六巻『ヨーガと瞑想の心理学』(邦訳は創元社)が公刊されいる
リープシャー,マーティン[リープシャー,マーティン] [Liebscher,Martin]
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのヨーロッパ言語・文化・社会学部講師、フィレモン財団の編集・翻訳者
河合俊雄[カワイトシオ]
1957年生まれ。京都こころ研究所代表理事。京都大学大学院教育学研究科修士課程修了。Ph.D.(チューリッヒ大学)。ユング派分析家、臨床心理士、公認心理師
猪股剛[イノマタツヨシ]
1969年生まれ。帝塚山学院大学教授。博士(教育学)。ユング派分析家、臨床心理士、公認心理師
宮澤淳滋[ミヤザワジュンジ]
1978年生まれ。新潟青陵大学准教授。上智大学大学院文学研究科心理学専攻博士後期課程満期退学。臨床心理士、公認心理師
長堀加奈子[ナガホリカナコ]
1983年生まれ。順天堂大学薬学部講師。上智大学大学院総合人間科学研究科心理学専攻博士後期課程単位取得満期退学。博士(心理学)。臨床心理士、公認心理(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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