出版社内容情報
子どもの心理療法の代表的なものとしてプレイセラピーがあるが、子どもは「まだ大人のように話すことができない」から、身近な遊びを用いてアプローチするという短絡的理解にとどまっている面は否めない。本書では、子ども特有の“ことば”に着目し、養育者やセラピストなど他者との情動的な共有体験のなかで生み出される潜在空間potential spaceの体験を描き、その子どもらしく、こころを育むとはどのようなことかを提示する。
内容説明
臨床事例や絵本、児童書、子ども・親の声などをもとに他者との情動的共有体験のなかで生み出される潜在空間の体験を描く。
目次
序章 乳幼児期の心理臨床
第1章 言葉が生まれる空間
第2章 大人と子どものあいだで生じる秩序の揺らぎ
第3章 子どもの「ことば」に見る音の響きと身体性
第4章 乳幼児のことばに見る音感性の移行対象―移行対象としての言葉を捉える試み
第5章 表情を感じる体験世界―人との関係性・モノとの関係性
第6章 眠ることにおける不確かさの体験
第7章 体験の中間領域から見る幼児の物語り―CAT日本版図版を用いて
第8章 プレイセラピーにおける実在性(actuality)
終章
著者等紹介
黒川嘉子[クロカワヨシコ]
奈良女子大学研究院生活環境科学系臨床心理学領域准教授。2001年京都大学教育学研究科臨床教育学専攻博士後期課程研究指導認定退学。京都大学博士(教育学)。臨床心理士、公認心理師。専門は臨床心理学、乳幼児期からの子どもと養育者への心理臨床(プレイセラピー、発達障害、子育て支援、小児科領域など)の実践と研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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