出版社内容情報
本書は、従来、因果的思考で説明できないために看過されてきた「偶発事」について、事例を通して詳細に検討し、偶発事が心理療法の治癒機序の本質に関わるものであることを、新たに考察・理論化したものである。臨床家の間では重視されているにもかかわらず、一般化が不可能で理論化になじみにくいゆえに、「単なる例外」や「不注意」として、探求されずにきた偶発事に関して、具体例に沿いながら理論化した類書はほかにはない。
【詳細目次】
はじめに――「偶発事」に関する臨床心理学的研究へのいざない
第1章 変容と偶発事
第1節 心理療法の場と日常世界
第2節 内的世界と外的現実
第3節 変容の力
(1)変容のメタファー
(2)心理療法におけるIN VITROとIN VIVO
第4節 偶発事の捉え方
(1)偶発事――テュケーとオートマトン
(2)無意識的意図との判別
(3)神秘的思考
(4)共時性
(5)共時性の象徴的基盤と特徴
第5節 心理療法における偶発事の扱われ方
第2章 事例の検討――偶発事という視点から――
第1節 セラピストの妊娠・出産による一時的中断(ケース1)
(1)面接に至るまで
(2)面接経過
(3)ケース1における偶発事とその特徴
第2節 箱庭の砂による衝撃(ケース2)
(1)面接に至るまで
(2)面接経過
(3)ケース2における偶発事とその特徴
第3節 交通事故との遭遇 (ケース3)
(1)面接に至るまで
(2)面接経過
(3)ケース3の偶発事についての考察
第3章 偶発事の発生と捉え方
第1節 偶発事発生とヒューマンエラー
(1)ヒューマンエラー
(2)リスクテイキング行動
(3)心理療法におけるヒューマンエラーについて
(4)事例におけるヒューマンエラー
(5)心理療法におけるエラー抑止の問題
第2節 セラピストの要因
(1)コンテイン機能
(2)セラピストのオリエンテーション
第3節 共時性
(1)意味ある一致としての偶発事
(2)コンステレーションの力の働きとしての偶発事
第4章 偶発事と病態水準――クライエント・セラピストの要因
第1節 神経症水準
第2節 精神病水準
第3節 身体症状――心身症と身体疾患
第4節 子どもと偶発事
第5節 PTSDと偶発事
第6節 セラピストの個人的特性
第5章 遭遇――訪れ、破壊するもの
第1節 身体と偶発事――領域の狭間
第2節 手紙による繋がり――言葉・声・文字の持つ力
第3節 遭遇
〈引用文献〉
おわりに
《謝辞》
内容説明
本書は、従来、因果的思考で説明できないために看過されてきた「偶発事」について、事例を通して詳細に検討し、偶発事が心理療法の治療機序の本質に関わるものであることを、新たに考察・理論化したものである。臨床家の間では重視されているにもかかわらず、一般化が不可能で理論化になじみにくいゆえに、「単なる例外」や「不注意」として探求されずにきた偶発事に関して、具体例に沿いながら理論化した類書はほかにはない。
目次
第1章 変容と偶発事(心理療法の場と日常世界;内的世界と外的現実;変容の力;偶発事の捉え方;心理療法における偶発事の扱われ方)
第2章 事例の検討―偶発事という視点から(セラピストの妊娠・出産による一時的中断(ケース1)
箱庭の砂による衝撃(ケース2)
交通事故との遭遇(ケース3))
第3章 偶発事の発生と捉え方(偶発事発生とヒューマンエラー;セラピストの要因;共時性)
第4章 偶発事と病態水準―クライエント・セラピストの要因(神経症水準;精神病水準;身体症状―心身症と身体疾患;子どもと偶発事;PTSDと偶発事;セラピストの個人的特性)
第5章 遭遇―訪れ、破壊するもの(身体と偶発事―領域の狭間;手紙による繋がり―言葉・声・文字の持つ力;遭遇)
著者等紹介
前川美行[マエカワミユキ]
大阪大学大学院人間科学研究科博士課程前期修了。大学院修了後、私設心理相談所、企業内カウンセリングルーム、総合病院精神科、大学学生相談等にて臨床経験を積む。2008年より東洋英和女学院大学准教授。臨床心理学専攻。山王教育研究所にて臨床実践。2007年、京都大学博士(教育学)取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。