出版社内容情報
「心」と「身体」は、見えない領域では、ほぼ等しい。心理臨床の現場で出逢うクライエントたちがもつ様々な症状や苦悩は、「心」の観点からも「身体」の観点からも理解でき、またそのセラピーも両面からアプローチが可能である。心理臨床に「心」だけでなく「身体」の視座が設けられたことは、研究の分野においても心理療法の分野においても視野を広げ、多大な発展につながった。本書に編まれた多数の論文はその証左となろう。
内容:
「京大心理臨床シリーズ」の刊行にあたって
はじめに……伊藤良子
序論…………大山泰宏
第1章 セラピストにおける心身の変化
1……治療関係における共通言語としての身体――「言語の身体性」とイメージ……康 智善
2……プレイセラピーにおけるセラピストの身体……本多早由里
3……身体感覚を通して顕わになる転移……高石浩一
4……心理臨床におけるからだと関係性……仁里文美
5……心理臨床におけるセラピストの身体について――身体への視座を転換して振り返る……大谷真弓
■コラム■ セラピストの心身の感覚をめぐって……広木芽枝
■コラム■面接室と身体……大谷祥子
■コラム■ セラピーの共通要因と身体性……森岡正芳
第2章 心理臨床の技法の中の身体
1……体験の構造化における「からだ」の意義……徳田完二
2……関係性の投影スクリーンとしての身体……西隆太朗
3……表象としての身体――家族布置技法の基盤としての身体……國吉知子
4……思春期の子供のプレイセラピーにおけるスポーツの臨床心理学的意味について
――パインの4つの心理学の観点から……伊藤俊樹
5……描画体験におけるこころとからだ――「からだ」の表れとしての描画試論……浅田剛正
6……風景構成法における身体性……古川裕之
7……心・体・家――場所としてのこころ……髙森淳一
■コラム■ 指圧にみる心理臨床……森田健一
第3章 自己の生成と身体
1……見つめあいから生まれてくるもの……田中慶江
2……「欲望」と、欲望生成以前の「欲望」と……北口雄一
3……鏡に映る私―自己意識に潜む神経症とそれを越えていく動き……梅村高太郎
4……キャラクターにみる心と身体……宮嶋由布
5……自我体験と身体……千秋佳世
■コラム■心理臨床における「触れる」こと……平井久世
■コラム■思春期と、思春期を経たあり方……市原有希子
第4章 言葉と身体
1……身体と言葉の直接性――臨床につなげる知の考察……河野一紀
2……語る行為と身体――Widmer, P.の身体像セミナーから……田中秀紀
3……心理臨床における「ことば」と「からだ」――自閉症児とのプレイセラピーと調査事例を取り上げて
……和田竜太
4……「聴く」という営みにおける身体――声にふれる」という経験に注目して……三好智子
■コラム■ 硬い言葉とゆるやかなことば……山川裕樹
■コラム■ 「言うなの禁」―ラフカディオ・ハーンと雪女……中川純子
■コラム■ 言葉と身体――レヴィ=ストロースの「象徴的効果」に寄せて……川嵜克哲
第5章 心理療法と身体論
1……心理療法システムから見た顕在的・潜在的身体……廣瀬幸市
2……過渡的身体像――「自」と「分」、および「身内化」について……山本昌輝
3……身体に潜在する自然――「こころ」、心、身体……濱野清志
4……ユングの治療論からみた「こころとからだ」……足立正道
5……身体という狭間……猪股 剛
■コラム■ 関係精神分析の視座からみたこころとからだ……辻河昌登
第6章 身体といのち
1……魂の次元にとどくために……高月玲子
2……血の祟りと「私」の定位――輪廻の魔女とトリックスター神……斎藤 眞
3……こころと身体とスピリチュアリティ……豊田園子
4……こころ/からだ/いのち……松浦隆志
5……「いのち」の尊厳性――宇宙創造の働き……目幸黙僊
終章 伊藤良子教授最終講義
おわりに……角野善宏
著者:伊藤良子、大山泰宏、角野善宏編
目次
第1章 セラピストにおける心身の変化
第2章 心理臨床の技法の中の身体
第3章 「私」の生成と身体
第4章 言葉と身体
第5章 心理療法と身体論
第6章 身体といのち
終章 伊藤良子教授最終講義「心理臨床と科学性」抄録
著者等紹介
伊藤良子[イトウヨシコ]
京都大学大学院教育学研究科教授を経て、学習院大学文学部教授。京都大学名誉教授。博士(教育学)。臨床心理士
大山泰宏[オオヤマヤスヒロ]
京都大学大学院教育学研究科准教授。博士(教育学)。臨床心理士
角野善宏[カドノヨシヒロ]
京都大学大学院教育学研究科教授。医学博士。臨床心理士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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