内容説明
日本企業は、かつてない大きな転換期にある。一定の時間の経過のなかで、やがては景気がかわっていく循環不況とは違って、いわゆる構造的な変動に巻き込まれてしまい、マクロ次元でも決め手となる経済政策を欠いた長期の低迷を余儀なくされている。標準の変化、理念なり綱領の変質、そして産業活動に不可避のさまざまなテクノロジーの劣化、こうしたツールなり手段、方策、そしてエネルギーには、われわれが堅持すべきものが多々あるにしても、自ら変えていかなければならない部分がきわめて多い。このことを確実に認識することから始めなければならない。そして、堅持するものと変わる、あるいは変えるべき部分との真に公平、公正な確認をなしえたとき、はじめてわれわれは経済活動の新たな挑戦に、敢然として取り組むことができるはずである。その意味で、変えること、変わることをわれわれは決して恐れてはならない。幸いにも、既得の素材なり基礎条件はすでに一定のレベルにある。
目次
第1部 苦悩する産業社会の実態と課題(経営環境の変化と混迷の企業適応;転換期の産業組織と企業経営;現代企業の経営戦略 ほか)
第2部 経営機能から見た問題と適応の発想(環境変化に適合する組織と執行の新発想;経営財務の今日的課題と経営行動;経営のグローバル化と国際会計 ほか)
第3部 適応の企業戦略と管理行動(現代企業とミッション・マネジメント;新日本的経営と能力主義;デジタルネットワーク社会の企業経営 ほか)
著者等紹介
井上善海[イノウエヨシウミ]
1954年佐賀県生まれ、1979年神奈川大学法学部卒業、1998年福岡大学大学院商学研究科博士後期課程満期退学、現在九州情報大学経営情報学部専任講師、専攻は経営戦略論、中小企業論。著書・論文に『経営計画ここがポイント』(経林書房、1994)「ミッションマネジメントと中小企業」(九州情報大学学術研究所『研究編集』第1巻第1号、1999)、「戦略ビジョン策定のための諸課題」(同上第2巻第1号、2000)ほか
加藤巌[カトウイワオ]
1965年大阪生まれ、1989年中央大学経済学部卒業、1995年福岡大学大学院経済学研究科博士後期課程満期退学、現在中京学院大学経営学部専任講師、専攻は産業組織論、企業立地論。著書・論文に『九州企業の国際経営戦略の実態調査』(共著、九州生産性本部、1991)、「都市開発における土地の有効利用及び商業不動産の価値に関する考察」(日本経済政策学会編『経済発展と制度転換―21世紀に向けての日本の進路』勁草書房、1997)ほか
杉原英夫[スギハラヒデオ]
1938年福岡県生まれ、1964年久留米大学商学部卒業、現在九州共立大学経済学部教授、専攻は労務管理論、経営管理論。著書・論文に『現代の企業経営』(共著、白桃書房、1990)『現代企業の経営戦略』(共著、同文舘、1992)『現代企業と経営』(共著、創成社、1994)ほか
大場敏男[オオバトシオ]
1932年福岡県生まれ、1955年長崎大学経済学部卒業、元東海大学福岡短期大学教授、専攻は経営倫理論、財務管理論、会計学。著書・論文に『現代企業と経営』(共著、創成社、1994)『現代簿記概況』(共著、税務経理協会、1999)「複式簿記の構造について―江州中井家帳合法を基点として」(東海大学短期大学紀要第27号、東海大学出版会、1993)ほか
矢野富夫[ヤノトミオ]
1934年熊本県生まれ、1956年大分大学経済学部卒業、東筑紫短期大学他にて非常勤講師、専攻は簿記会計、企業経営論、消費者行動論。著書・論文に「財務管理の実態」(福岡県高等学校商業教育研究第13号、1965)、「電子計算機を利用した財務諸表分析」(福岡県教育センター紀要、1975)、「簿記会計学習上の問題点」(福岡県高等学校商業教育研究第15号、1977)ほか
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