内容説明
東京下町の昔の話は、多くの人に語られてきたが、山の手の生活のあれこれ、特に麹町界隈のことは全く伝わってこない。著者が少女時代暮らした東京山の手の、色、音、匂い、言葉、日常のなに気ない動きを若い人たちにも伝えたい、文字に残しておきたいと『家庭画報』で連載をしたのが95年。古希を迎えるあたり大幅に加筆して、一冊の本となった。それが本作である。
目次
第1章 東京山の手の昔十二か月
第2章 麹町を歩く
第3章 昔がたりいろいろ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
めぐみこ
3
先月読んだ『華族令嬢たちの大正・昭和』に引用されていて気になった本。戦前の山の手の暮らしは、親世代は着物が普段着で、テレビはまだなくラジオに合わせて歌い、暖房は火鉢、夏は蚊帳を吊って眠る。祖父母と同年代の著者の綴る光景を、そっと記憶の中の曽祖父一家に置き換えてみたりした。ただし公務員の初任給と同程度の額を家賃として支払えた一家だから、内情はだいぶ違ったことだろう…。2021/03/10
かのこ
2
仕事で必要なため読みましたが、、、。うーんかなり鼻につく。「昔はよかった」ていう懐古主義だけならまだしも「今の子は○○も知らない」って大きなお世話ですが。いちいちどこそこの社長さんが、とか天皇陛下のご学友でとかいう紹介も好みじゃない。麹町は個人のものではないし、町並み時代とともに変わるものだ。2015/09/19
のんき
0
邦枝完二の娘による手記。って、ごめんなさい、邦枝完二読んだことないです。少女時代に住んでいた麹町に関する記述が主だけど、それに絡んで父親のことを思い出さずにいられなくなっている自分が不思議だというあたりが面白かった。2009/05/25