出版社内容情報
「木版印刷」とは、木の板に刃物で凹凸をつくり、そこに色を付けて文字や図像を紙に写す技法です。
日本では浮世絵に代表される多色摺りによって、版数を重ねて色彩を組み合わせる技法が発展してきました。
また、出版・印刷物の歴史として、人間の生活とともに受け継がれてきた伝統工芸であり、いわば人間の生活史といえます。
機械印刷が主流になったいまでも、その木版印刷ならではの独特の風合いは紙にかかわるデザイナーやアーティストら多くの人を魅了し、さまざまな印刷物や作品に採用されています。
本書は、京都の老舗「竹中木版 竹笹堂」による、彫り、摺りを中心とした技術を丁寧な解説とともに紹介するとともに、江戸時代の浮世絵からはじまり現代の木版プリントまで、老舗ならではの貴重な資料を豊富に用いながら、日本の「木版印刷」の歴史をひもときます。
資料価値の高い内容でありながら、数々の図版と美しいビジュアルで、美術、工芸関係者はもちろん、若手作家やアーティストの参考になる一冊になっています。
■目次
木版印刷とは
はじめに
第1章 木版印刷の歴史第2章 木版印刷の仕事
①-木版印刷の誕生
②-出版産業の勃興
③-浮世絵の登場
④-浮世絵の最盛期
⑤-京の木版画、江戸の木版画
⑥-近代の木版画 商業と芸術
第2章 木版印刷の仕事
版元とともに歩んできた木版画
①-浮世絵
②-染色図案
③-巨匠たちの名画
④-掛紙・短冊・便箋
⑤-京うちわ
⑥-初釜の扇子
⑦-寺社の縁起物
⑧-絵柄・文様・タイポグラフィ
⑨-手摺りの雑貨
第3章 木版画の制作技法
赤富士に見る、木版画の技法
絵師・彫師・摺師の協業について
摺りの技法を知る
絵具のつくり方 /大きな面を摺る/小さな面を摺る
ぼかしの技法
彫師・摺師が手入れする道具
第4章 現代木版画の意匠
第5章 これからの木版画
先人に学び、現代に求められる制作を続けることが、技術を更新する
竹中木版 竹笹堂について
資料提供協力先/参考文献
おわりに
コラム
?明朝体のルーツとなった日本で最初の『一切経』開版事業―宝蔵院
?木版印刷の「版元」が担う役割とは―芸艸堂が受け継ぐ版木と伝統
?古版木は「歴史の証人」だ―虎屋所蔵の版木から商業印刷としての役割がみえる
?木版画を支える、職人を訪ねて
越前和紙 岩野市兵衛 和紙の里を訪ねて
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目次
第1章 木版印刷の歴史(木版印刷の誕生―印刷の起源;出版産業の勃興―出版の幕開け 鎌倉時代、室町時代 ほか)
第2章 木版印刷の仕事(版元とともに歩んできた木版画;商業印刷としての木版画)
第3章 木版画の制作技法(赤富士に見る、木版画の技法 浮世絵の制作工程;絵師・彫師・摺師の協業について ほか)
第4章 現代木版画の意匠
第5章 これからの木版画(先人に学び、現代に求められる制作を続けることが、技術を更新する;国宝『孔雀明王像』を摺る―世界最大級の複製木版画への挑戦 ほか)
著者等紹介
竹中健司[タケナカケンジ]
竹中木版五代目摺師。有限会社竹笹堂代表取締役/木版画作家。1970年京都市生まれ。京版画の摺師として伝統的な木版技術の継承、失われた技術の再現や古版木の調査・修復に取り組む。また、国内外でワークショップやアーティストとの共同制作をおこなう。ボストン美術館、フランス国立図書館などが作品所蔵。京都木版画工芸組合副理事長、京都精華大学伝統産業イノベーションセンター特別共同研究員等を務める
米原有二[ヨネハラユウジ]
ライター。京都精華大学伝統産業イノベーションセンター長。1977年京都府生まれ。京都を拠点に工芸を対象とした取材・執筆活動をおこなう。「分業工程」や「職人文化」「道具・材料の供給難」「修理・修復」などを主題とした聞き書きに取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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