出版社内容情報
男女の高齢者の相違に着目した画期的な書。高齢女性を中心に、その心を理解するパラダイムを提供、よりよい心理臨床の可能性を探る高齢化した現代社会では、老年期を理解し臨床実践を進めることが心理職に求められる。「老人」とひとくくりにされることも多い高齢者だが、男性と女性では、生物的にはもちろん、ライフサイクルもかなり異なるため、性差を考慮することはやはり重要といえる。「こころとからだの時差」とは、「性愛」そして「死」とは――高齢女性をメインに老年期の代表的なテーマを掘り下げ、その心を理解するパラダイムを提供、よりよい心理臨床の可能性を探る。
序 文
はじめに
第1章 「女性」と「老い」を理解するにあたって
1.なぜ女性なのか
2.この本の視点――女性性
3.女性性の受容
4.女性性の受容をめぐる葛藤
5.老年期を生きる女性のこころ――メラニー・クライン(1882-1960)の場合
6.女性として生まれ、老いていくことの理論
7.ペニスをもつかもたないか――フロイトの視点
8.豊かな乳房は誰のものか――クラインの視点
9.あらかじめプランされた危機、そして成長――エリクソンの視点
10.理論から日常の現場へ
第2章 女性が「老い」に気づくとき
1.こころとからだの時差「若くありたいが、実際は……」
2.戻りたいのは50歳!?
3.「現役の自分」を失う辛さ
4.年をとらない心の領域
5.質問を深め、ともに探索すること
6.新しいかたちの若さ
第3章 女性が「死」を思うとき――心の変容過程
1.「個」としての女性と「関係性」における女性への注目
2.心の変容過程
3.死者とともに「今」を生きる
4.心奥にある想い――TAT(絵画統覚検査)を通した老年期女性の内的世界
5.事例検討
6.関わりのありよう
第4章 いつまでも、女だから――性愛を感じるとき
1.枯れゆくからだと枯れないこころ
2.枯れゆくからだをいかに「みる」か
3.ロールシャッハ法を通して理解する「女」としてのこころ
4.事例検討
第5章 こころの理解から臨床的活用へ――回想法
1.「私」を紡ぐ語り――回想法を通した「インテグリティ(Integrity)」の質的検討
2.回想の語りとバウムテストの検討――語り手の内的体験を中心に
3.「インテグリティ」の女性らしいあり方
終 章 老年期女性に対する心理的援助に向けて
文 献
おわりに
索 引
Column
フェミニズムと精神分析――フロイトの女性論の可能性
レヴィンソンのライフサイクル研究
人との関わりのありよう――TATを通して見えてくるもの
TAT・ロールシャッハ法・バウムテストについて
臨床家の育成
西尾 ゆう子[ニシオ ユウコ]
著・文・その他
目次
第1章 「女性」と「老い」を理解するにあたって
第2章 女性が「老い」に気づくとき
第3章 女性が「死」を思うとき―心の変容過程
第4章 いつまでも、女だから―性愛を感じるとき
第5章 こころの理解から臨床的活用へ―回想法
終章 老年期女性に対する心理的援助に向けて
著者等紹介
西尾ゆう子[ニシオユウコ]
2011年京都大学教育学部教育科学科教育心理学系卒業。京都大学大学院教育学研究科臨床教育学専攻修士課程。2013年京都大学大学院教育学研究科臨床教育学専攻修士課程修了。京都大学大学院教育学研究科臨床教育学専攻博士後期課程。2016年京都大学大学院教育学研究科臨床教育学専攻博士後期課程研究指導認定退学。株式会社北大阪メンタルヘルス渡辺カウンセリングルーム、博士(教育学)、臨床心理士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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