内容説明
本書は4部から成り、初期のアイデアから後期の考察まで、ボウルビィの思考を網羅する。第1部では、喪失・悲哀・うつ病に関する文章を収録する。ここには、防衛機制の役割に関する、ボウルビィの考えの概要が現れている。第2部では、不安、罪悪感、同一化に関するボウルビィのアイデアを扱う。ここには、ボウルビィが疎開した子どもたちと関わり、子どもたちを観察したことから得た考察が反映されている。第3部では、コンフリクトをテーマとした3つのセミナーを扱う。これらのセミナーにおいてボウルビィは、自身の臨床概念を政治哲学や精神分析に革新的な方法で接続した。第4部では、トラウマや喪失感、そしてセラピストとしての自身の仕事について、ボウルビィ自身が後年になって考察を深めている。本書は、ボウルビィと精神分析との関係を明らかにするだけでなく、アタッチメント理論における重要概念の精緻化や、自己批判の重要な場面を取り上げる特徴的な書である。
目次
第1部 円熟期の理論的著作(喪失に続く防衛―原因と機能;喪失、デタッチメント、防衛;抑うつ障害における防衛的排除の位置づけ;ダーウィン―精神医学と発達心理学)
第2部 罪悪感、不安、同一化をめぐる初期の著作群(疎開の心理的諸問題;フロイトと超自我;罪悪感と家族契約)
第3部 スタンフォードおよびタヴィストックにおけるセミナー(コンフリクトとその調整に向けた精神分析的アプローチ―一九五八年一月のスタンフォード・コンフリクト・セミナー参加者に対するセミナー;一九五八年二月のスタンフォード・コンフリクト・セミナー参加者に対するセミナー;大きな心理社会的推移が引き起こす心理的プロセス)
第4部 振り返りによる省察(アリス・スマッツとのインタビュー;治療状況における心理療法家個人の資質の果たす役割)
著者等紹介
ドゥシンスキー,ロビー[ドゥシンスキー,ロビー] [Duschinsky,Robbie]
ケンブリッジ大学プライマリ・ケア・ユニット社会科学上級講師、シドニー・サセックス・カレッジフェロー兼学長
ホワイト,ケイト[ホワイト,ケイト] [White,Kate]
アタッチメントに基づく精神分析的心理療法家、スーパーバイザー、The Bowlby Centreメンバー、Attachment:New Directions in Psychotherapy and Relational Psychoanalysis名誉編者、The Bowlby Centre Monographsシリーズ編者
筒井亮太[ツツイリョウタ]
関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻専門職修士課程修了。現在、臨床心理士。たちメンタルクリニック/上本町心理臨床オフィス、立命館大学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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