内容説明
本書は、わが国オリジナルに生まれ、最近十数年の間に急速に発達・展開しつつある動作療法というまったく新しいタイプの心理治療についての理論と方法の現状を述べたものである。一般に心理治療といえばことばを手段にするものと決まっているのに対して、ここでは主として動作というコミュニケーションによりクライエントの生活体験の仕方の治療的な変化を援助しようとするもので、その際ことばは補助として用いられるだけである。その方法は広範な心理臨床のあらゆる分野でそれぞれに著しい成果の挙がることがこれまでさまざまに報告されている。現場で急増する仲間たちの要望にも対応し、また現時点での心理的な立場を明確にし、今後のさらなる展開を占うため、これまでの成果にもとづいて理論と方法を中心にまとめた。
目次
1 動作療法への序章
2 動作と動作法
3 心理治療における体験
4 動作療法
5 動作療法におけるインテーク
6 動作療法のプロセス
7 動作療法における援助
8 動作課題
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばんだねいっぺい
25
「動作療法」は、「意識化」ではなくって、「意識下」を上手に使うもので、「動作」を通じて起こる体験がもたらす実り、身体の状態や動かし方への気づきを得るものと理解した。2023/06/20
さとし
0
心理療法において身体に触れることはタブーとされることが多いけれど、しっかり考察しながら活用すれば大きな強みになるのではないかと思った。意識にのぼらない「意識下」の体験が治療的にはたらくことは何となく感じているし、「意識下」にお任せできるようにするために「動作」を使うのは理に適っていると感じる。動作を介する共感についての考察も興味深かった。2020/10/16