出版社内容情報
「内因概念はまったく意義を失っていない」。双極スペクトラムや新型うつ病といった現在の問題も論じながら、気分障害の本質に迫る
「内因概念はまったく意義を失っていない」。気分障害の理解と治療をめぐる混乱を前に、精神病理学の伝統に立ち返ることで病理の本質が明らかとなる。診断と治療、症状と経過、パーソナリティと発達史、素質と環境、さらには「新型うつ病と資本主義」「双極スペクトラムと青春」など独自のテーマまで、哲学や社会学にも触れつつ精神病理学者が縦横無尽に駆けめぐる。歴史から現在へ、人間学から治療実践へと、豊富な症例とともに語りつくされる「うつ」と「躁」の全て。精神科医や心療内科医はもちろん当事者や家族もふくめ、うつ病・躁うつ病とかかわる人々に、いまこそ読んでほしい一冊。
【著者紹介】
名古屋大学学生相談総合センター准教授・同大学大学院医学系研究科精神健康医学准教授
内容説明
混乱と錯綜の中にある現代のうつ病臨床。精神病理学の伝統に立ち返ることで、操作的診断では分からない病理の本質が見えてくる。症状と経過、パーソナリティと発達史、素質と環境、精神療法と薬物療法…新型うつ病、双極スペクトラムと社会変動の関係まで、現在の気分障害論に、精神病理学者がオリジナルな一石を投じる。
目次
第1章 症状の質とその構造的意味(症状、症状の質、症状の構造的意味;うつ病と躁うつ病の精神医学史についての小論 ほか)
第2章 うつとパーソナリティ(問題の所在;本書のテーゼとなる、二つの見解 ほか)
第3章 患者の語りを聴くこと―気分障害患者の発達史論と経過論から(患者の語りを聴く意味;基盤となる治療関係―空間の提供 ほか)
第4章 うつ病患者の不安と相克―マックス・ヴェーバーの病跡を介して(内因性の気分障害と不安障害の併存;マックス・ヴェーバーの病跡学―「新型うつ」的病像と『倫理書』の予言)
第5章 双極スペクトラムと「躁」について(今日いわれている双極スペクトラムについて―薬物療法、精神病理、治療関係、鑑別診断の観点からの検討;双極スペクトラムと「青年期」―ライフサイクル論を越えて)
著者等紹介
津田均[ツダヒトシ]
1960年生まれ。1982年東京大学理学部卒業。1988年東京慈恵会医科大学卒業。2000年東京大学医学部付属病院分院神経科講師。2001年同大学同学部精神神経科講座講師。現在、名古屋大学学生相談総合センターおよび同大学大学院医学系研究科精神健康医学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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