出版社内容情報
東日本大震災により、被災地の親子をめぐる環境が急変するなか、家族の心と生活を支えるため、心理学ができることを多面的に考える東日本大震災により、被災地の親子をめぐる環境は急変した。避難先の学校で対人関係に悩む子ども、避難先で地域になじめず戸惑う家族、原発事故で仮設住宅に住まうストレス、さらには放射能汚染がもたらす心理的問題など、枚挙にいとまがない。本書では主に心理学の専門家が、それぞれの立場からこれらの問題にアプローチし、具体的な活動例や調査結果を通じて「震災後の親子をいかに支えるか」考える。
第?部 子どもと家族の心を守る
第1章 東日本大震災後の保育者支援を通してみた子どもと保育者の変化
1 はじめに
2 研修会
3 子ども,保護者の状態(事前アンケートから)
4 グループワーク
5 災害復興と心理学
第2章 「自分を知ろうチェックリスト」を用いた被災児のストレス評価――被災した子どもたちのストレスとその対処
1 はじめに
2 原点は阪神・淡路大震災
3 阪神・淡路大震災の教訓
4 東日本大震災への挑戦
5 震災ストレスマネジメント教育のプログラム
6 さいごに
第3章 避難した子どもの人間関係を支える心理療法
1 はじめに
2 子どもの生活と人間関係
3 社会的スキル訓練(SST)
4 子どもの人間関係を支える心理療法
5 さいごに
第?部 生活に根ざした支援のあり方を探る
第4章 人形劇活動を通じた避難児童の支援を目指して
1 はじめに
2 埼玉県における避難者支援
3 人形劇プログラムを通した避難家庭の地域とのつながり
4 結びにかえて
第5章 被災地での乳幼児健診を拠点とした新たな子育ち/子育て支援
1 はじめに
2 震災後の乳幼児健診をとりまく状況
3 支援の始まり
4 支援の実際
5 子どもの変化
6 長期的な関わりにみる支援の実際
7 持続可能な支援システムとしての発展
8 まとめにかえて
第?部 原子力災害と家族支援
第6章 東日本大震災後に福島県内の仮設住宅で生活する子どものメンタルヘルス
1 福島の子どものストレス
2 実態調査の内容
3 小学1?3年生の調査結果
4 実態調査からみえる小学1?3年生の特徴
5 小学4?6年生の調査結果
6 実態調査からみえる小学4?6年生の特徴
7 中学生の調査結果
8 実態調査からみえる中学生の特徴
9 調査からわかった子どもの実態とこれから
10 災害復興と心理学
第7章 原子力災害がどうして福島の子どもたちに心理的問題を引き起こすのか?
1 はじめに
2 災害と心理学
3 チェルノブイリ原子力発電所の事故と事故が引き起こした心理的問題
4 福島でいったい何が起こっているか
5 子どもたちへの心理的影響は深刻
6 原子力災害の特殊性
執筆者
本郷 一夫【第1章】
加藤 道代【第1章】
山田 冨美雄【第2章】
高橋 史【第3章】
持田 隆平【第4章】
白石 優子【第4章】
西澤 由佳子【第5章】
青木 紀久代【第5章】
川村 素子【第5章】
三浦 正江【第6章】
三浦 文華【第6章】
筒井 雄二【第7章】
日本心理学会[ニホンシンリガッカイ]
安藤 清志[アンドウ キヨシ]
東洋大学社会学部社会心理学科教授
松井 豊[マツイ ユタカ]
筑波大学人間系教授
内容説明
一瞬にして日常生活を奪われた被災住民を支えるために、そしてその救援者を支えるために、心理学者は何を提供できるのか。東日本大震災時の活動記録より、今、心理学ができることが見えてくる。日本心理学会による心理学叢書第7弾。復興に向けての心理学の貢献を紹介する。
目次
第1部 子どもと家族の心を守る(東日本大震災後の保育者支援を通してみた子どもと保育者の変化;「自分を知ろうチェックリスト」を用いた被災児のストレス評価―被災した子どもたちのストレスとその対処;避難した子どもの人間関係を支える心理療法)
第2部 生活に根ざした支援のあり方を探る(人形劇活動を通じた避難児童の支援を目指して;被災地での乳幼児健診を拠点とした新たな子育ち/子育て支援)
第3部 原子力災害と家族支援(東日本大震災後に福島県内の仮設住宅で生活する子どものメンタルヘルス;原子力災害がどうして福島の子どもたちに心理的問題を引き起こすのか?)
著者等紹介
安藤清志[アンドウキヨシ]
1979年東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。現在、東洋大学社会学部社会心理学科教授、文学博士
松井豊[マツイユタカ]
1982年東京都立大学大学院博士課程単位取得退学。現在、筑波大学人間系教授、文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。