内容説明
ワーキングメモリは、今では、教育、医学、臨床活動、神経科学、工学、その他の多くの分野で参照されるようになっている。本書は、このワーキングメモリの概念を明確に定式化し、その最も有名なモデルを提唱したアラン・バドリー自身が新たな研究成果と理論的進展を盛り込んでまとめた最新の概説書である。基礎的な発見は現代的な観点から整理し直され、進化的・適応的意義まで射程に捉えて展望を開いている。話題は社会的行動や情動、意識の問題に広がり、ワーキングメモリ概念の理論的・実用的価値を新たにしてくれる。
目次
イントロダクションと概観
なぜ音韻ループが必要か
音韻ループ:課題と広がる論点
視空間的短期記憶
イメージと視空間的ワーキングメモリ
新近性、検索、定数比の法則
中央実行系を細分化する
長期記憶とエピソード・バッファ
エピソード・バッファの探求
ワーキングメモリスパンにおける個人差
何がワーキングメモリスパンを制限するのか
ワーキングメモリの神経イメージング
ワーキングメモリと社会的行動
ワーキングメモリと情動1:恐怖と渇望
ワーキングメモリと情動2:抑うつと行為の源
意識性
多重レベルの行為制御
ワーキングメモリ研究の広がり:生命、宇宙、そして万物について
著者等紹介
バドリー,アラン[バドリー,アラン][Baddeley,Alan D.]
PhD,FRS,CBE.英国ヨーク大学心理学部教授。1934年、イングランド生まれ。ケンブリッジ大学において実験心理学の博士号を取得した後、博士論文の研究を行っていたケンブリッジMRC応用心理学ユニットに引き続き在職、その後、サセックス大学を経て、スターリング大学の教授となる。有名なBaddeley & Hitchの「Working memory」という論文が出版された1974年に応用心理学ユニットに着任、1995年まで所長を務めた。1995年にブリストル大学、2003年にヨーク大学へ異動し、現在も新しい知の創成と若手研究者の育成に貢献し続けている
井関龍太[イセキリュウタ]
2005年筑波大学大学院博士課程心理学研究科一貫制博士課程修了。現在、理化学研究所理研BSI‐トヨタ連携センター研究員、博士(心理学)
齊藤智[サイトウサトル]
1993年京都大学大学院教育学研究科博士後期課程学修認定退学。現在、京都大学大学院教育学研究科准教授、博士(教育学)
川崎惠里子[カワサキエリコ]
1980年早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、川村学園女子大学文学部教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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