出版社内容情報
悲しみも苦しみも人生にムダなものは一つもない――。
愛とは? 真の友情とは? 病とは? 死とは?
遠藤周作が「人間の生きる道」を語り尽くす。
(「はじめに」より)
この本をぼくは自らの人生に満足している人に読んでもらおうとは思わない。毎日の生活に充足感を持っている人に読んでもらおうとも思わない。
たとえば、毎日が充たされぬ人、自分に劣等感を持っている人、友だちのいない人、さむい下宿で孤独な人、そういう人に読んでもらいたいのだ。
ほんの少しだけでも生きる智慧をふきこむことができたら、と思うからだ。
◇◇◇ 生誕100年記念 新装版 ◇◇◇
内容説明
悲しみも苦しみも人生にムダなものは一つもない。我々の世界の中には苦しいことがたくさんある。苦しみがあるからいろんなことが進歩するんだろう。苦しみがあるから、我々には愛というものがある。苦しみというものがなかったら、我々は互いに愛するということをしないだろう。生誕100年記念新装版
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シンプルねこ(ねこた)
6
この本を読むと遠藤さんは正直で優しい性格だと思う。自分のダメなところも包み隠さずさらけ出している。病気になって人の辛さが分かったけど、それまでは生意気な性格だったと書いてあった。確かに普通の人は自分が辛い経験をしないと人の苦しみなど分からないものかも知れない。私も幸か不幸か辛い経験があるので人の苦しみが分かる。でも、私はそれを当たり前のことのように思っていた。2023/09/22
どりぃ☆
5
書店で前書きを読んでいたら涙が溢れてきて、慌ててレジへ直行し、帰ってすぐに読み始めた。「この本をぼくは自らの人生に満足している人に読んでもらおうとは思わない。(中略)毎日が充たされぬ人、自分に劣等感を持っている人、友だちのいない人、さむい下宿で孤独な人、そういう人に読んでもらいたいのだ。」このたった2行で孤独な心に灯りがともったようだった。著者曰く、生活と人生は違うものだという。生活ではなく、人生を共にできる人を持つこと、そしてそういう人と共に人生を豊かに、自分を高めながら生きていけたら幸せだなと思った。2023/06/05
れっど
1
生活と人生は違う。生命維持のために生きることが生活で、自分の信念に従って生きることが人生ということか。この二つが完全に別物ではなく、重複する点があることも、二分法で考えない著者の考えを反映している。 遠藤周作の、物事を二分法で考えない考え方が好きだ。諦めなければ、見方によっては、全てに救いがあるという考え。他者の痛みが分かる、他者を喜ばせる観点で、苦しい思いをしようが相手より一段低く見られようがかまわない。そんなことができるのも、神を信じ、人生に従った動きをしているから、体内に負を抱え込まないのだろうか。2024/05/06
rina i
1
⭐️3 また時間が経ったら読み返したい。 今わからないことが次はわかるような気がする。2024/02/17
YUSUKE
1
人の考えている事を知ることができる唯一のものが本だと思う。作者が良いと思っていることを書き、読んだ人に伝え知ってもらう。まさに思考の伝播である。素晴らしい。そんな事を、考えさせられる一冊でした。2023/06/15