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内容説明
本書では数多くの伝統色名を取り上げ、それにまつわる歴史的な逸話や染材など、色彩への興味が湧くような記述を心がけた。もともとは月刊誌『公評』一九九四年七月号から十三回にわたって連載したものだが、本にまとめるに当たって大幅に加筆し、構成も改めた。
目次
春の章―赤、薄赤、黄系の色(赤―農耕民族日本人の太陽信仰;緋―茜で染めた火の色 ほか)
夏の章―緑、青、薄青系の色(緑―草木の生命力を色に託す;萌葱色―若武者、平敦盛の鎧縅 ほか)
秋の章―茶、橙系の色(茶色―茶の伝来とともに生まれた色;橡―大伴家持が好んだ着物 ほか)
冬の章―紫、無彩色系の色(紫―宮廷びとにもてはやされた理由;紫根色―権力を象徴する色 ほか)
著者等紹介
中江克己[ナカエカツミ]
1935年、北海道函館市生まれ。ノンフィクション作家・染織文化研究家。染織文化誌『藍』(青桐社)の編集長を務めて以来、伝統染織の文化史的側面を追い続ける
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
244
今上天皇が即位の儀式で着た「黄櫨染御袍」(こうろぜんのごほう)がどんな色か知りたくて読んだ。こうろぜん、は黄色みがかった赤茶色、と文字で読んでもピンとこなかったが、巻頭の色見本ページが親切で、わかりやすかった。天皇だけに使用が許される「禁色」になっている。その他、「城ヶ島の雨」に出てくる、「利休鼠」など、色の歴史が短く分かりやすく解説され「座右の書」にピッタリの1冊。2021/12/11
mocha
98
日本史を読み解いてるとは思えなかったけど、伝統色の本として面白かった。化学染料のない時代に、自然界のさまざまな色を布に染め、身に纏ってきた文化の趣き深さを思う。それぞれの色も美しいが、例えば表は薄青、裏は黃の衣を「若苗色」とするような感性にうっとりする。江戸時代には奢侈禁止令で「四十八茶百鼠」というくらい茶系と鼠色系のバリエーションがあったそうだ。巻頭に色見本もあり、手軽なサイズとボリュームも良い。メモしておきたい事がたくさんあった。2017/07/31
さつき
62
日本の伝統色を春夏秋冬のイメージごとにまとめた作品。小さいけれど色見本も付いていてわかりやすいです。天皇しか身につけられない禁色について。勝に通ずるとして鎌倉武士に愛された褐色(かちいろ)について。どう見ても茶色や鼠色には見えない色にも茶や鼠と付く江戸時代の流行色について。など面白いエピソードが満載でした。2017/10/20
ポルトン
40
春夏秋冬、四つの章に分かれていてそれぞれの季節をイメージする色を解説している。1色辺り20数行で色名の由来を分かりやすくまとめ説明さらている。 また巻頭にはカラーパターンも収録されているので実際の色を思い浮かべながら解説を読めるのも良い。古典や時代小説を読む上で辞書的な役割も果たしてくれる良本! 常に手の届く所に置いておきたくなる本です♪2017/10/12
蒼
27
自然界の植物のみならず太陽の光や夜の闇からまでもその色を再現して意味を持たせようとした、日本人の色彩感覚の細やかさに圧倒される本だった。2021/12/20