内容説明
本書は、「戦後思想家の巨人」と呼ばれた著者が、不況、リストラ、汚職、不倫などの世紀末ニッポンを騒がす諸現象を解き明かし、糾弾すべき対象に物申し、個人がいかにしてこの時代を歩むべきかを自らの経験もふまえて語り下ろした、真実を見極めて生きるための一冊である。
目次
就職難民でも、だいじょうぶ
リストラ時代の大誤算
「不況」をさらに深刻にする奴ら
サラリーマンを蝕む危ない常識
お役所がつぶれる日、日本が沈む日
不正、腐敗って、ひとくくりに言えないぜ
子どもを産んでも働きたい貴女へ
一夫一婦制がいいなんて、嘘だよ
学校は、万人にとって必要なところじゃない
情報化社会が人間関係を冷たくする〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とみやん📖
6
自分が学卒のころの本。戦後の代表的な思想家として名高い吉本氏の言論に触れたことがないので手にしてみた。 何だか、つかみ所が無い本。時の小渕内閣をボロクソに批判しているが、ご自身が主張していた消費喚起策はその後の歴史がふるさとクーポン券(地域振興券)を空前の下策であったと証明している。最高のインテリと思しき方が実は大学で遊んでいたり、戦後離職を繰り返していたりと、現実主義者だったことが判明し意外に感じた。また家庭内暴力や不倫離婚を自然と見る当たりも。曇りの無い眼でドライに人間社会を見つめていた人だと思った。2020/01/06
佐伯りょう
2
小渕氏が首相だった頃に書かれた本。あの当時がはるか昔に感じられるが、日本が抱える問題の本質は今もなんら変わっていない。 この本の中でも何度も述べられているように、分かりやすい言葉で、啓蒙臭を排除した語り口。 閉塞感で息が詰まりそうな現代を、のびのびと生きる方法はあるのか?2010/09/26
tatsuya.m
0
就職についてや、学校についての話は吉本さん自身の体験からくるもので、説得力がありました。結局は「みんな、それでいいんじゃないの。好きなようにやりなよ」と言っているようでもありました。最後の方での、病院の話、おもしろかったな〜。2013/08/13
rubbersoul
0
「第一に、判断がどんなに遅くなってもいいですから、自分の直感に映った光景を信じるべきだと思います。自分が温泉や行楽地に遊びに行ってみたら、まるでさびれた死の街みたいで、うそ寒い思いが実感されたら、それが『不況』『大倒産時代』の本当の姿です。決してテレビや報道機関に出てくる明るい話とか希望的な観測や言論に惑わされないでもらいたいです」2024/11/26
ishida
0
わかりやすく言葉を選んで、それでいて力強い印象。ただなんとなく平易な言葉だとそれはそれで扇動的になる気も…2018/11/20