著者等紹介
池田大作[イケダダイサク]
昭和3年(1928年)、東京生まれ。創価学会名誉会長。創価学会インタナショナル(SGI)会長。創価大学、アメリカ創価大学、創価学園、民主音楽協会、東京富士美術館、東洋哲学研究所、戸田記念国際平和研究所などを創立。世界各国の識者と対話を重ね、平和、文化、教育運動を推進。国連平和賞のほか、モスクワ大学、グラスゴー大学、デンバー大学、北京大学など、世界の大学・学術機関から名誉博士・名誉教授、さらに桂冠詩人・世界民衆詩人の称号、世界桂冠詩人賞、世界平和詩人賞など多数受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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コウメ
35
全体の流れとしては東京裁判と戦後処理の内容。2021/06/14
かごむし
21
本の内容は変わらない。変わるのは読み手の方である。だから比喩的な表現なわけだけど、前に読んだ時より、本が成長している、そういう驚きを感じながら夢中で読み進める読書だった。単に一宗教団体、一個人の自伝的説明の枠を超えて、文学作品として物足りなさを感じないというのは、人間理解の深さにそのゆえんがあるように思う。戦後の混乱の時勢に、人生の不如意に絶望した庶民が大勢いた。彼らの幸せを願い、ともに泣き、葛藤する、戸田城聖という指導者がいた。その心の交流を読む時に、胸に熱いものが流れていった。読むと元気になる本。2018/06/07
wiki
13
やはり、東京裁判については、本書の参考文献にある書籍を中心に、しっかりと理解しておかねばならない現代史の一場面であると思う。この始点から、第二次大戦の精算と未精算、現代の論争の根本があるように感じる。丁寧に歴史を辿る小説である。「君も匙を投げたいのかね。戸田は、断じて匙を投げません。」「社会が悪い、政治が悪いと、慨嘆するだけなら、誰にでもできることだ。事実、その通りだが、社会にしろ、政治にしろ、それを動かすのは人間だ。」戸田城聖という人物の大きさを、荒ぶる昨今の世相と、小説の時代とを比較しつつ学ぶ。2020/04/03
wiki
12
「理想は理想、現実は現実などといって、その場その場を、ごまかしているのが現代ではなかろうか。この二つをまるで別物のように扱って、あきらめているのは、現代の精神の薄弱さを意味している。理想を現実化する力、その力がなんであるかを、人びとは深く、強く探究もせず、求めもしない。人間の精神が、これほど衰弱した時代もないだろう。」自身5度目の通読。東京裁判についての内容は今こそ一読すべき。いかにして憎しみや怨みの連鎖を止めるか、との一点に視座をおくものだ。戦勝戦敗どちらが正義か、というような事は皮相論に思う。2017/01/31
かごむし
11
戦後の世相が丹念に描きこまれる。宗教と言えばどうしても独善的な一人よがりな主張に終始してしまいがちだが、なぜそのような教義が説かれたのか、説かれなければならなかったのか、ということが納得できる。戸田城聖自身、何か特別な力を持った超人ではない。しかし、彼の不抜の信仰心からわきいでた、力強い励ましに、それまでの人生で築きあげたものをすべて失った老婦人や、大家族を抱えながら理不尽にも馘首された壮年など、絶望の中から一筋の希望を見出し、前を向いて歩き始める。戸田の懐の広さ、魅力と、信仰の持つ力を感じた巻であった。2020/08/03