内容説明
本書は、技術文明に由来する幸・不幸両面を直視しながら、そのあるべき姿を求め、科学の未来を問う。
目次
第1章 ゲーテの自然像と技術‐自然科学の世界
第2章 現代物理学に照らしてのゲーテ色彩論とニュートン色彩論
第3章 『内面への芸術の旅』への省察
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
9
色彩を光から捉えたニュートンはそのスペクトルを連続的としたが、ゲーテは色彩が五感を通して感取されるとし、光と影から形成される不連続な性質を持つとした。実験室のような19世紀の静止空間が列車のような速度を与えられて時間と空間が密接になると、客観的と思われた対象に感覚が混ざり、観察者と観察対象は分離できなくなる。量子論によって色彩のスペクトルは量子同様離散的と捉えられるこの時代に、ゲーテは蘇った。本書は、終生ゲーテと共にあったという著者の、還元主義的な技術主義に偏る科学を越えようとする自然学的な3章からなる。2022/01/28