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内容説明
神武伝承や熊野信仰の地、よそ人から他界とみられてきた熊野、そこで人々はどのように生き暮してきたのか。著者は熊野の山川、草木、石、岩にいたるまでを調べ、農漁民、炭焼、筏師などのライフヒストリーに耳を傾け、各地に残る民話伝承を蒐集する。自然環境を凝視し、自然と人間の不思議な相関関係をときほぐし、密接なかかわり合いを探索する―。環境民俗学を提唱する著者の意欲作。この一冊で熊野のすべてがわかる。
目次
序章 熊野参入
1 生業と環境(山の環境と民俗;海の環境と民俗;海山のあいだ)
2 信仰と環境(熊野三山信仰の基層;熊野の臨海信仰;神々の座)
3 海山に生きる(海の人生―熊野灘そして木曜島へ;山の人生―炭焼・その移動と山住み;川の人生―熊野川最後の筏師)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
25
「フィールドワークの鬼」と呼ばれ、重厚な聞き取り資料を以て読者と学会を撲殺するかのような著者による名著。神武東征の時代から僻地とされ、「生まれ変わりの聖地」と宣伝されるまでになった紀伊半島東南部、熊野地方に生きる人達は、熊野の自然や環境の中で、如何に生きて、また生活しているかを丹念に追った記念碑的著作である。1990年代においても、日本にはこれだけの民俗知を持った人たちが生きているのかと、学生時代のぬこ田は圧倒された。なお、全頁コート紙使用なので、値段と重量も超弩級である。図書館等で読まれたい。2014/11/14