内容説明
1972年5月15日、27年間にわたるアメリカの沖縄統治に終止符が打たれた。しかし、「太平洋の要石」とされた沖縄の日本返還は、アジア・太平洋戦争、国共内戦に続き、朝鮮とベトナムの熱戦を経ることになった東アジア周辺諸国にとっては、自国の安全保障を左右する重大事項であり、沖縄の帰属と基地の形態をめぐって日米への働きかけが何度も行われていた。本書は、日米に加え、台湾、韓国で収集した多言語史料を活用し、沖縄返還に至る複雑な交渉過程を実証的に明らかにするとともに、復帰をめぐる沖縄住民のたたかいをも立体的に描き出す。
目次
序章
第1章 東アジア冷戦体制の形成と米軍施政下の「琉球」
第2章 日韓関係の変容とベトナム戦争の本格化
第3章 沖縄返還問題の焦点化
第4章 沖縄「返還」の決定
第5章 米国の東アジア戦略の変容と沖縄返還の実現
終章 沖縄返還とは何だったのか
著者等紹介
成田千尋[ナリタチヒロ]
1987年兵庫県生。京都大学大学院文学研究科現代史学専修博士後期課程修了。現在、日本学術振興会特別研究員(PD)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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