内容説明
従来の法制史・経済史あるいは宗教史などのヨーロッパ中世の歴史学研究においては、女性が中心に据えられることはほとんどなかった。社会史の研究方法が深まるとともに今日まで注目されなかった史料が数多く発掘され、優れた研究が続々登場する。結婚、財産、相続、職業、信仰、家族関係など、どのような社会構造や経済生活の中でどんな生き方を女性たちは強いられ、あるいは選びとってきたのか、時代・地域・文化の差異を分け入ってその実像に迫った労作。
目次
序文 中世と私たち
第1章 初期中世―500年から1050年まで(ゲルマン人における女性の地位;キリスト教の婚姻観と教会法;メロヴィング朝の女たちから;世俗世界と修道院、律院の大貴族の女たち;下女と隷属農民の女たち)
第2章 盛期中世―1050年から1250年まで(女性にとって、都市の生活様式と家族法・相続法の発展がもつ意義;女性の宗教運動;宮廷と騎士の世界の女性)
第3章 後期中世―1250年から1500まで(一般的な枠組みと法的枠組み;中世都市共同体における女性;イタリアの状況;政治における女性;農村の女性)
結論 変わるものと変わらないもの、変化のなかで継続してゆくもの