内容説明
名著『聖なるもの』の著者のもう一つの名著!ヒンドゥー教とキリスト教の比較を通して宗教の本質―救済―に迫る古典的著作。
目次
第1章 キリスト教のライバル―インドの恩寵(恵み)の宗教
第2章 神をめぐる戦い―シャンカラとラーマーヌジャ
第3章 救済の問題―いかにして達成されるか
第4章 インドの恩寵の宗教とキリスト教―異なる精神、異なる救い主
補説(隠れたる神と献信者の神;贖いと贖罪;本源的堕落の理念;同一性神秘主義の同一体験;神は個人的存在〈Privatwesen〉ではない;すべては恩寵から)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
5
前著では古代ウパニシャッド思想とキリスト教思想が絶対他者の概念で類似的に論じられたが、ブラフマンとアートマンの一体化という関係はキリスト教の神と人間の関係構造を採らないことは明らかである。が、著者は教義や構造からでなく、宗教的感情からその「平行性」を論じた。本書では信仰心の「平行性」をルター派の信仰義認とヒンドゥー教ヴィシュヌ派の信愛(バクティ)に見出す。副次的とされた宗教的感情が主題化される背景には、19世紀西欧のキリスト教の衰退が、布教対象であるインドの宗教を比較対象として捉える知の変動も垣間見える。2021/08/18
mittsko
5
ヒンドゥー教ヴィシュヌ派とキリスト教ルター派の比較が主題。88年刊のこの邦訳を初めて読んだのは25年前、そのとき、比較宗教とはなんとつまらない学問だろう、と思った。しかし今回、本著がいかに綿密な思索と研究により貫かれているか、痛感した。一つの宗教を総体として把握するとはどういうことか、二つの宗教を比較するためには何をすべきか… 学ぶべきことだらけ。オットー大先生、すいませんでした。なお、原著は30年で『聖なるもの』初版は17年。オットー研究者もあまり言及しないのだが、日本語になっている数少ない彼の著作2019/01/23
-
- 電子書籍
- もう、資格だけでは食べていけない