出版社内容情報
マイノリティの経験をこころの専門家は受けとめられるのか
人種、性的指向、階級、性別などの複数の属性が絡み合うクライエント。
関係精神分析と交差性【ルビ:インターセクショナリティ】を架橋し、
差別や抑圧の現実に向き合う、これからの臨床を提言する。
本書は、交差性の概念をとりいれることで、移民、LGBTQ、女性、セックスワーカーなど周縁化された人々との臨床をめぐる新たな精神分析的視座を提供し、「違い」を病理化しない新しい実践の可能性を示す。心理学・精神分析・ソーシャルワークを横断し、複雑な現実にむきあうためのいま読むべき一冊。
差別をなくし、社会正義を実現していくためには、意識レベルでの取り組みが不可欠であることは言うまでもない。しかし、その場に働く無意識的な影響を理解しておかないと、理念的に正しいはずの運動が、まさにその「正しさ」ゆえに心理的抵抗に直面し、頓挫してしまうことがある。
このような分断を少しでも解消していくために必要なのは、やはり対話である。ここで言う対話とは、単なる言葉のやり取りではない。相手がなぜそのように振る舞わざるを得ないのか、その切迫した内的状況を理解し、その心理を同情(sympathy)でなく共感(empathy)を通じて想像しようとする努力を基盤に据えたコミュニケーションである。(……)本書は、まさにそうした時代の要請に対する、精神分析側からの真摯な応答の試みである。(訳者解説より)
第Ⅰ部 クィア・アイデンティティ
第1章 いったい誰がクィアなのか?――患者と分析家が硬直した思考や関係性を乗り越えること◆マックス・ベルキン
第2章 ギャップを考える――ジェンダーバリアントな子どもたちとの治療におけるジェンダー、人種、階級の交差◆アヴギ・サケトポロウ
第Ⅱ部 女性の性的搾取
第3章 従属した自己――売春言説における交差的抑圧と無意識のこころの統合◆ハンナ・ポコック
第4章 肌の記憶――人種、愛、喪失をめぐって◆スー・グランド
第Ⅲ部 移民体験
第5章 移民の文脈におけるインターセクショナリティ◆プラチューシャ・トゥンマラ= ナラ
第6章 楽園の異邦人――トレヴァー、マーリー、そして私:レゲエ音楽とよそ者としての他者◆クレオニー・ホワイト
第Ⅳ部 臨床理論
第7章 インターセクショナリティ、規範的無意識過程、人種化された区別のエナクトメント◆リン・レイトン
第8章 インターセクショナリティとラプランシュの出会い―
【目次】
はじめに
第Ⅰ部 クィア・アイデンティティ
第1章 いったい誰がクィアなのか?
――患者と分析家が硬直した思考や関係性を乗り越えること◆マックス・ベルキン
第2章 ギャップを考える
――ジェンダーバリアントな子どもたちとの治療におけるジェンダー、人種、階級の交差◆アヴギ・サケトポロウ
第Ⅱ部 女性の性的搾取
第3章 従属した自己
――売春言説における交差的抑圧と無意識のこころの統合◆ハンナ・ポコック
第4章 肌の記憶――人種、愛、喪失をめぐって◆スー・グランド
第Ⅲ部 移民体験
第5章 移民の文脈におけるインターセクショナリティ◆プラチューシャ・トゥンマラ= ナラ
第6章 楽園の異邦人
――トレヴァー、マーリー、そして私:レゲエ音楽とよそ者としての他者◆クレオニー・ホワイト
第Ⅳ部 臨床理論
第7章 インターセクショナリティ、規範的無意識過程、人種化された区別のエナクトメント◆リン・レイトン
第8章 インターセクショナリティとラプランシュの出会い
――他者性と加害の理解不能性をめぐって◆ジュリー・レヴィット エイドリアン・ハリス
第9章 インターセクショナリティ
――政治からアイデンティティへ◆ニール・アルトマン
謝辞
解説 「心理的なもの」と「社会的なもの」を結びつけるために(北村隆人)
訳者あとがき
執筆者一覧
内容説明
マイノリティの経験をこころの専門家は受けとめられるのか。人種、性的指向、階級、性別などの複数の属性が絡み合うクライエント。関係精神分析と交差性を架橋し、差別や抑圧の現実に向き合う、これからの臨床を提言する。
目次
第1部 クィア・アイデンティティ(いったい誰がクィアなのか?―患者と分析家が硬直した思考や関係性を乗り越えること;ギャップを考える―ジェンダーバリアントな子どもたちとの治療におけるジェンダー、人種、階級の交差)
第2部 女性の性的搾取(従属した自己―売春言説における交差的抑圧と無意識のこころの統合;肌の記憶―人種、愛、喪失をめぐって)
第3部 移民体験(移民の文脈におけるインターセクショナリティ;楽園の異邦人―トレヴァー、マーリー、そして私:レゲエ音楽とよそ者としての他者)
第4部 臨床理論(インターセクショナリティ、規範的無意識過程、人種化された区別のエナクトメント;インターセクショナリティとラプランシュの出会い―他者性と加害の理解不能性をめぐって;インターセクショナリティ―政治からアイデンティティへ)
著者等紹介
北村隆人[キタムラタカヒト]
1968年生まれ。京都府立医科大学卒業。マッコーリー大学教養学部哲学科Graduate Diploma課程修了。立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程修了。博士(学術)。精神科医。臨床心理士。日本精神分析学会認定精神療法医スーパーバイザー。現在、東洞院心理療法オフィス代表
森真治[モリシンジ]
京都教育大学大学院教育学研究科修士課程修了。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得満期退学。修士(教育学)。公認心理師。臨床心理士。KIPP認定精神分析的心理療法家。精神科勤務を経て、現在は大学や相談機関にて臨床および教育に従事し、心理臨床の実践と研究に取り組んでいる
関理江[セキリエ]
ヨーク大学健康学部心理学科卒業。神戸大学大学院人間発達環境学研究科博士課程前期課程修了。修士(学術)。公認心理師。臨床心理士。KIPP認定精神分析的心理療法家。こども家庭センター、福祉施設、私設オフィスでの臨床を経験し、現在は大学学生相談室で勤務している
山岡亜里紗[ヤマオカアリサ]
兵庫教育大学大学院学校教育研究科修士課程修了。修士(学校教育学)。公認心理師。臨床心理士。KIPP認定精神分析的心理療法家。医療機関では、精神科・心療内科にて臨床と心理検査に従事し、教育現場では、教育センター・中学校・高等学校・大学で臨床に携わってきた。現在は、個人開業と、桃山学院中学校高等学校・KIPP心理オフィスに勤務している
ベルキン,マックス[ベルキン,マックス] [Belkin,Max]
ウィリアム・アランソン・ホワイト研究所フェロー、心理療法スーパーバイザー、教員。『現代精神分析』誌アソシエイト・エディター。ニューヨーク大学応用心理学科非常勤講師。ニューヨーク市で個人開業の臨床心理士として、個人およびカップルの治療を専門としている
ホワイト,クレオニー[ホワイト,クレオニー] [White,Cleonie]
ウィリアム・アランソン・ホワイト研究所フェロー、教員、心理療法スーパーバイザー。ニューヨーク大学大学院博士課程(心理療法・精神分析)非常勤臨床助教。スティーブン・ミッチェル関係研究センター教員・スーパーバイザー。ホワイト博士はニューヨーク市で個人開業している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。



