内容説明
戦後日本の学歴社会、効率主義は結局私たちになにをもたらしたのか。消費文化とは、必ずしも豊かさ、幸福感だけに結びつくものではなく、消尽や破壊の欲望とも結びついたものである。いま、私たちはこうして消費活動の中にただとりこまれていくしかないのだろうか。こうした消費プロセスに対して、芸術をはじめとする「創造」活動のなかに抵抗線を探ることは可能であろうか?気鋭の美学研究者、建築評論家、心理療法家、精神科医などが領域をこえて自由に論じ合う。
目次
第1部 見すえる(消費とカタストロフィ;市場競争原理と臨床心理学;タナトスの股肱―現代日本における超自我のはたらきについて)
第2部 生きる(アーティスト・イン・レジデンスが示すもの―資本中心主義とアート;青少年支援のベースステーション―「自己/他者」「決定」「責任」をキーワードに;統合失調症の人のささやかな消費;応用芸術学としての美術企画―「岐阜おおがきビエンナーレ2006」を回顧して)
第3部 たどる(「ポップ」で「キッチュ」で「クール」なアート?―消費文化とアートの一つのエピソードとして;ブランディング戦略とアイデンティティ―グローバリゼーションが日本にもたらしたもの;子どもの世話と生業・生活(いのちき)での夫婦役割のステレオタイプとその交換―戦前・戦後炭鉱労働者を例に
トラウマと「いま」―賠償と秘密の行方)
著者等紹介
川田都樹子[カワタトキコ]
1962年生。大阪大学文学部大学院博士課程修了。博士(文学)。甲南大学文学部人間科学科教授。専門は美学・芸術学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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