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出版社内容情報
かつて埋葬されながらくり返し甦り、われわれの生を決定するトラウマを多層的に把捉する。
内容説明
「トラウマ」は今の時代を読み解くキーワードの一つになっている。数々の突発的な事件、事故、災害を思えば、人間の生は「トラウマ的事象」に満ちているのではないか。「病」や「無意識」などにかわって「トラウマ」という極限状況を臨床実践の中心テーマに据えることで、精神医学、臨床心理学と哲学、文学の共同をあらためて模索しようとする意欲的な試み。トラウマ研究の最前線。
目次
『モーセと一神教』は二十一世紀の世界に何を伝えているのか?―集団のトラウマという発見
歴史とトラウマと解離
「靖国」をめぐる感情の問題
児童虐待によるトラウマと世代間連鎖
戦争と平和についての観察
心的外傷の行方―病理的組織化と次世代への負債
反復―プラス一
攻撃者への同一化とトラウマの連鎖
甲南大学人間科学研究所第5回公開シンポジウム トラウマ概念の再吟味―埋葬と亡霊
著者等紹介
森茂起[モリシゲユキ]
1955年生。京都大学教育学部大学院博士課程修了。博士(教育学)。甲南大学文学部人間科学科教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
寛生
35
【図書館】その存在は亡霊に取り憑かれる。とうの昔に埋葬したはずの死者、禊を受けたはずの罪と罰が幾度も眼に見えるカタチ、いえば、トラウマとして被害者以上に加害者に現れる。埋葬したはずの者や出来事はトラウマか亡霊か。目にははずのもの、もう亡くなっているはずの人たち、無くなっているはずの出来事が、いつになっても「そこにある」ものとして消える事はない。カトリック教会という宗教さえ隠そうとするユダヤ人への罪は、教会自体が匿ってきた罪は、いくら教会が隠蔽したとしても精神分析の場ではトラウマという亡霊となって現れる。2014/11/29
代理
1
呑気な本。中井氏の論文がずば抜けて面白い。港道さんの文章は書いてる本人も読解不能な気がする。トラウマを共同体にも当てはめる(自分たちは例外)という勝ち戦。最凶最悪のトラウマ発生装置は家族だと思うのだが、国家と戦うマンの皆さんにはそれだと物足り無いようだ。どんな形であれ患者の回復を願うのが精神医学屋さんだと思っていたのだが、たまにはイデオロギーが勝つこともあるとわかったのが最大の収穫。2017/10/07
0
再読。圧巻なのは、やはり中井久夫の「戦争と平和についての観察」であるだろう。もちろん、「トラウマ」という事象そのものからは大きく外れているが、今現在進行中の事態に驚くほど対応しているのは驚くほかない。巻末のシンポジウムも「トラウマ」そのものというよりは、高橋哲哉の「<靖国>をめぐる感情の問題」というように国家、あるいは共同体の問題が提出されている。もちろん、そこには、原-父殺しという「トラウマ」(『トーテムとタブー』『モーセと一神教』)によって、共同体が立ち上がるのだから避けられないんだけど。2017/05/03
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