内容説明
無意識の世界と錬金術との間にパラレルな関係を見、人間の全体性と西欧文明を根本から問い直す独創的著作!本書にはその第1部「錬金術に見られる宗教心理学的問題」と第2部「個体化過程の夢表象」を収録。図版111葉を添える。
目次
第1部 錬金術に見られる宗教心理学的問題
第2部 個体化過程の夢象徴(序;初期の夢;マンダラ象徴)
著者等紹介
ユング,C.G.[ユング,C.G.] [Jung,Carl Gustav]
1875‐1961。スイスの精神科医・心理学者。ボーデン湖畔で生まれ、キュスナハトで86年の生涯を閉じた。フロイトの高弟であったが、後に袂を分かち、彼独自の学説を作りあげた
池田紘一[イケダコウイチ]
1940年生れ。九州大学名誉教授。専攻はドイツ文学・文芸理論
鎌田道生[カマタミチオ]
1941年生れ。関西学院大学名誉教授、ドイツ文学者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
∃.狂茶党
13
錬金術、オカルト的想像力についての本。 ユングの心理学の本はいくつか読んできたものの、錬金術という、ヨーロッパのオカルティズムが前提であるために、わかりづらい。 理解は諦め物語を読むように、絵巻を眺めるように読んでいく。 モノクロなのが残念だが、多数の図版が収録されている。 錬金術やタロットカードにつながる、西洋オカルティズムのイメージに溢れているので、ホドロフスキーや、ニール・ゲイマンなどの、オカルト系創作者の作品を読み解く際に、本書は参考になるに違いない。 2023/08/28
roughfractus02
8
言葉を記号でなく象徴として扱う場合、対象への正確さと明瞭さを目指す科学的意識は、対象を見る者の心理も含み、両者を含む全体を目指す錬金術的無意識に変わる。近代化を目指す歴史から退行と非難されるこのシフトを著者が行うのは、心理学的な知がグノーシス主義に由来すると考えるからだ。真の認識(Gnosis)は部分の正確な追求でなく全体の探求から生まれる、と主張する本書は、「第一質料」や「賢者の石」を求める錬金術に、古代の神話から「執着」してきた「対立しあうものの結合」を目指す物理化学面における無意識の変容過程を読む。2021/05/16
清水聖
2
準備中2024/10/24
tall_hemlock
1
この巻、前半は概説っぽいもの、後半は主に特定の男性クライアントの分析に出現した夢・マンダラ夢の事例。下巻はまだ読み途中。いずれにしても、自分はもう少しちゃんと知識を持って読み始めるべきだったなという歯ごたえがある(けど面白いです)2018/01/30