出版社内容情報
「独自性」を追い求める社会は、私たちに何をもたらすのか
社会はより良く進歩しているという「幻想」が潰えた後期近代。生産のオートメーション化、デジタル革命、単純サービス業の増加等、産業構造の転換によって新しい階級社会が誕生している。リベラルでエコロジカル、グローバル志向の新たな中産階級が影響力を振るい、個々人は「独自性」を競い合う。世界規模で起こっているこの変化は、私たちの生活に何をもたらすのだろうか。欧米の最新文献を網羅しながら現代社会の矛盾や両義性を鮮やかに描く、ドイツ発の新たな社会理論。
「公的な議論は、確固たる楽観的な進歩主義からディストピアやノスタルジーへと、すなわち、ある選択的な見方から別の見方へと転換した。だからといって、現代社会の構造を理解し、それに対処することが以前より簡単になったわけではない。とはいえ、幻想の終わりが画一的な悲観主義に行き着く必要はない。幻想がないということは、冷静なリアリズムを可能にし、分析のための空間を開くような美徳でありえるのだ」(本書より)
◎目次
序章 幻想が消えた現代
第一章 文化をめぐる戦いとしての文化間の軋轢(コンフリクト)――ハイパーカルチャーと文化本質主義
第二章 平準化された中間層社会から三つの階級の社会へ――新たな中産階級・古くからの中産階級・不安定な階級
第三章 工業社会を超えて――分極化したポスト工業主義と認知・文化資本主義
第四章 疲弊した自己実現――後期近代の個人とその感情文化のパラドックス
第五章 自由主義(リベラリズム)の危機と新たな政治的パラダイムの探求――開放型自由主義から埋め込み型自由主義へ
内容説明
社会はより良く進歩しているという「幻想」が潰えた後期近代。生産のオートメーション化、デジタル革命、単純サービス業の増加等、産業構造の転換によって新しい階級社会が誕生している。リベラルでエコロジカル、グローバル志向の新たな中産階級が影響力を振るい、個々人は「独自性」を競い合う。世界規模で起こっているこの変化は、私たちの生活に何をもたらすのだろうか。欧米の最新文献を網羅しながら現代社会の矛盾や両義性を鮮やかに描く、ドイツ発の新たな社会理論。
目次
序章 幻想が消えた現代
第1章 文化をめぐる戦いとしての文化間の軋轢―ハイパーカルチャーと文化本質主義
第2章 平準化された中間層社会から三つの階級の社会へ―新たな中産階級・古くからの中産階級・不安定な階級
第3章 工業社会を超えて―分極化したポスト工業主義と認知・文化資本主義
第4章 疲弊した自己実現―後期近代の個人とその感情文化のパラドックス
第5章 自由主義の危機と新たな政治的パラダイムの探求―開放型自由主義から埋め込み型自由主義へ
著者等紹介
レクヴィッツ,アンドレアス[レクヴィッツ,アンドレアス] [Reckwitz,Andreas]
1970年、ドイツ・ヴィッテン生まれ。社会学者、文化理論家。フンボルト大学ベルリン社会科学研究所教授。近年の主な受賞歴として、DFG(ドイツ研究振興協会)のゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ賞(2019年)、ハイデルベルク科学アカデミーによる表彰(2021年)など
橋本紘樹[ハシモトヒロキ]
1992年、滋賀県生まれ。専門は、47年グループやフランクフルト学派を中心とする現代ドイツ文学・思想。九州大学大学院言語文化研究院助教。松山大学経済学部特任講師を経て、2023年度より現職。主要論文に「アドルノにおけるハイネ講演、あるいは文化批判と社会」日本独文学会機関誌『ドイツ文学』第156号(第59回ドイツ語学文学振興会奨励賞受賞)
林英哉[ハヤシヒデヤ]
1989年、北海道生まれ。専門はヘルダーリンをはじめとする近現代ドイツ文学。三重大学人文学部特任准教授。京都大学非常勤講師などを経て、2022年度より現職
田中紀行[タナカノリユキ]
1962年生まれ。専門は社会学史・社会学理論・知識社会学。京都大学大学院文学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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