思想としてのミュージアム―ものと空間のメディア論

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  • サイズ B6判/ページ数 291p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784409240991
  • NDC分類 069
  • Cコード C3036

出版社内容情報

博物館や美術館は、〈もの〉が展示されているだけの透明な空間ではない。それは社会に対してメッセージを発信し、同時に社会から読み解かれる、動的なメディアである。しかし、これまでミュージアムは主に展示する側の視点からしか語られてこなかった。本書では、メディア論の見地からその視点の転換を試みる。歴史的な検討を踏まえながら、ミュージアムをひとつの「思想」として考察する過程からみえてくるのは、日本と西洋におけるミュージアムの成りたちの宿命的な差異と、私たちのミュージアムに対する発想自体の貧困である。本書は“ミュージアムブーム”と“ミュージアム冬の時代”を同時に経験している現代日本にとって有益な示唆を与えるだろう。日本の新しいミュゼオロジーの展開を告げる画期作。

* * *

新しい時代の新しいミュージアムのあるべき姿と進む方向が本書によってようやく明示された。(青柳正規・文化庁長官)

ミュージアムはなぜメディアなのか。歴史と理論、実践を架橋する再定義で、運営論中心の陥穽から救う。これは、博物館・美術館の解体新書だ。(吉見俊哉・東京大学大学院教授)

【著者紹介】
東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学(博士、学際情報学)。京都精華大学人文学部専任講師を経て、現在、関西大学社会学部准教授。専門はメディア論、ミュージアム研究。共著書に、『マンガミュージアムへ行こう』(岩波ジュニア新書、2014年)、『ポピュラー文化ミュージアム 文化の収集・共有・消費』(ミネルヴァ書房、2012年)、『マンガとミュージアムが出会うとき』(臨川書店、2009年)がある。

内容説明

“ミュージアムブーム”と“ミュージアム冬の時代”は、なぜ同時に起きているのか?博物館・美術館大国ニッポンの未来を考える、画期的論考の誕生。

目次

プロローグ ミュージアムを異化するメディア実践
第1章 ミュージアムのメディア論―研究の枠組と方法
第2章 ミュージアム空間の思想
第3章 「ミュージアム」から「博物館」へ
第4章 メディア・象徴・メッセージ
第5章 二一世紀におけるミュージアム空間の変容
エピローグ 日本のミュージアムの今後と、周縁的であることの可能性

著者等紹介

村田麻里子[ムラタマリコ]
1974年生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学(博士、学際情報学)。京都精華大学人文学部専任講師を経て、関西大学社会学部准教授。専門はメディア論、ミュージアム研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

浅香山三郎

8
西洋世界のミュージアムのもつ思想的歴史的背景、日本における博物館の受容と歩み、そして近年の傾向までを丁寧に論じる。つまらない博物館学概論のテキストに比べ、格段に面白い博物館史の本であり、博物館の表象するものを巡つての思想史の本でもある。色々印象的な指摘がある。ミュージアムブームとミュージアム冬の時代が同時に起きてゐるとか、ミュージアム・コンテンツの〈ポピュラー文化〉化とミュージアム体験の〈ポピュラー文化〉化の現状についての考察など、なるほどと思はされる。本書にしめる記述は少ないが著者によるメディア実践の2016/11/22

tuppo

4
内容に発見というより冒頭の学生の素朴な感想が印象に残りました。当然のように意図せざるメッセージの事を忘れて構築してしまうしずれの事も忘れてる。「今日はミュージアム側の様々な工夫と考えとそれを見る側の考えの行き違いみたいなものを感じました」ミュージアムは意図するあるいは意図せざるメッセージを社会に向けて発している。/送り手と受け手の解釈の同一性は厳密には起こりえない。それでも受け手が送り手のメッセージを感じ受け取っているという点においてコミュニケーションはすでに成立している。2017/07/20

リョ

1
経営論からでなく認識論から見たミュージアム。西洋からの流れも汲んだ日本の博物館史の流れも掴むことができた。ポピュラー文化を取り扱う展覧会には行くけども、あまり声を大にして言いたくないという偏見を抱えていたので特に5章、エピローグで語られた内容は目からウロコだった。2017/05/12

林克也

1
日本におけるミュージアムの成立を論考した研究であり、美術館好き、絵や写真を見ることが好きな者ととしてとても興味深い本だった。エピローグで、視覚障害者と美術(館)との関係について著者は多くの字数を割いている。このところ、偶然とはいえ目の見えない人と絵とに言及する本を連続して読むことになったのは、どういうことだろうか、落ち着いて考えてみたい。2015/07/18

ぽん教授(非実在系)

1
媒介であるメディアそれ自体がメッセージである、というマクルーハンのテーゼはそのままミュージアムにも代入できる筈であるが、博物館学に於いては経営論とコンテンツ論と資料保存論などが中心として扱われてきたこともあって、メディア論としてのミュージアム論が希薄であった。本書はそれを埋めるための概説的な内容である。博物館をどうするべきか、を実務目線で提言する前にまず現象としての博物館それ自体を過去から遡って把握することが大切である、という基本をしっかり行っている路線である。2015/06/05

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