内容説明
本書は、鴎外研究一筋の著者が十数年前に発表した『森鴎外〈恨〉に生きる』(講談社現代新書)を土台にして、さらに長年の成果、資料、調査にもとづき大幅に加筆した意欲作である。とくに、鴎外の最晩年にみられる喪失感、遺書にある「官権威力」への拒否に収斂された鴎外の精神に焦点をあてる。
目次
序章 鴎外の出発―津和野藩
1章 ドイツ留学時代―昂揚する精神
2章 邂逅と別離―恋の苦悩
3章 明治20年代―鬱屈したエネルギー
4章 小倉転勤―雌伏して時を待て
5章 日露戦役出征―薬師となりて
6章 凱旋後―常磐会と死魔の跳梁
7章 再活躍期―閉塞の中から
8章 エリーゼ残像―ノスタルジアと非傷感
9章 明治の終焉―成熟の時代
10章 歴史小説に向かう―権力への視線
終章 1匹の獅子―石見人森林太郎トシテ死セント欲ス