内容説明
「淫楽と不敬虔を巧みに結び付けている唯一独自な作品」としてサドに影響を与えた本書は、過激な性描写があるとはいえただのポルノ小説ではなく、当時の哲学的思想を反映した宗教、政治への批判的な側面をもつ「リベルタン小説」である。哲学議論を重ねながら、性の秘密を知り官能の頂点へと導かれながら、成長を遂げるヒロイン、テレーズ。性描写と哲学的議論が交互にあらわれ、快楽と理性が共存して描かれた18世紀のベストセラーであり、澁澤龍彦の著作等でも知られる。挿絵21葉および詳細な作品解説を付す。
著者等紹介
関谷一彦[セキタニカズヒコ]
1954年、大阪府生まれ。関西大学大学院文学研究科フランス文学専攻博士後期課程修了、リヨン第2大学でDEAを取得。現在関西学院大学教授。専門は18世紀フランス文学、エロティシズム(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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刳森伸一
4
キリスト教的道徳観などの既成秩序に対する反抗と逸脱を主に性の放埓を通じて語るリベルタン文学の白眉とされる作者不詳の長篇小説。性的な描写の間に哲学的な会話を挟む構成や、うら若き女性をリベルタンへと教育するという趣旨など、『閨房哲学』などのサドの諸作にも強く影響を与えている。露骨な描写やキリスト教批判など当時の水準からするとかなり過激だったと思われるが、その一方で公共の福祉や法への順守が謳われており、抑制的な面もあるし、真実は愚民にはまだ早いというような貴族的な見方からも抜け出ていないところもある。2021/01/24
ジョンとらぼるた
2
性の言説の爆発。淀みなくすらすら読めた。この時代(多分16世紀)に、自分の性活動に関する告白をした書物のなかで、女性が事細かに、自分の性活動について描写した本は珍しいのかな?とても面白い!!!2012/11/18