内容説明
19世紀において「調和と自由」とは、環境と個人との関連を表す重要な概念であった。クールベ、ピサロによる自然をめぐる認識は、夢や幻視の領域を通して、同時代の現実を鋭く見据えていた。近代的主体の二重化や自我を表した肖像画、都市化にともない変わり行く農村や働く農民の表象、そして、自然と都市の環境が芸術的に表現された風景画。近代を代表する芸術作品を読み解きながら、同時代の哲学やアナーキズム思想、生理学・心理学、地理学や社会学の位相を明らかにする。
目次
第1部 表象と主体の二重化(肖像の真理―ギュスターヴ・クールベの肖像画と初期写真に関する試論;戦争と革命の寓意―眠る裸婦とりんごの静物画)
第2部 労働と心身(エッフェル塔の時代の「プリミティヴィズム」と「モダニズム」―カミーユ・ピサロの「りんご採り」をめぐって;憂鬱・夢想・思考の通路―休息する農婦たち;「労働は心と身体の健康を驚くほど調節する」―工芸と装飾をめぐる身体のリズム)
第3部 自然環境と都市(風景の連作―自然主義とアナーキズムの自然感情;光の世紀、始まりの終わり―近代都市と群衆・シネマトグラフ・記念碑)
著者等紹介
石谷治寛[イシタニハルヒロ]
1977年、東京生まれ。京都大学人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在、甲南大学人間科学研究所博士研究員。専攻は、美学・美術史、視覚文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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