出版社内容情報
民主主義をもう一度手繰り寄せるために
本質主義にも排外主義にも回収されない主体性を志向することは可能なのか。エルネスト・ラクラウの政治思想を手がかりに、ポピュリズムと民主主義の関係を根底から問い直す。熟議でも闘技でもなく、いま増殖しつつある「不審者」という政治的アイデンティティから導かれる、危うくも魅力的なラディカル・デモクラシーの地平。
「不審者とは、排除された、もしくは包摂を拒むようなアウトサイダーではなく、私たちのすぐかたわらに佇む不気味な隣人なのだ。しかしこう表現したからといって、このような形象を何も捉え難い特異な存在と考える必要はない。むしろそれはたとえば私たちがよく目にするような、デモを横目に立ち行く彼/彼女であり、リズムに合わせてつま先を揺らす警官であり、遠慮がちに端のほうでコールを口ずさむ私たちのことでもある。」(本書より)
【目次】
序章 デモクラシー、われら同質なるもの
1 「人民」の両義性とデモクラシー
2 終わりなき同質化と異質なもの
3 本書の主題と先行研究
4 本書の構成
第一部 エルネスト・ラクラウのポスト・マルクス主義
第一章 ポスト・マルクス主義の系譜学――ラディカル・デモクラシーの足音
1 ポスト・マルクス主義前夜
2 マルクス主義国家論との対話
3 ラクラウのイデオロギー論――階級還元主義批判と人民=民主主義的審問
4 ポピュリズム論への展開
5 ポスト・マルクス主義の系譜学
6 「釈明なきポスト・マルクス主義」のために
第二章 ポスト・マルクス主義の方法論
1 マルクス主義における本質主義批判とヘゲモニー
2 言説
3 ポスト・マルクス主義への不満と不安
4 ポスト基礎付け主義
5 ラディカルな唯物論
第三章 政治と普遍的なるものの行方
1 普遍主義の黄昏のなかで
2 『ヘゲモニー』における普遍主義への懐疑
3 普遍性の構築
4 普遍化しきれないものの残余
5 普遍と個別のはざまで
第四章 敵対性と異質なもの
1 敵対性への問い
2 危機の時代におけるヘゲモニーと敵対性
3 転位と構成的外部
4 敵対性の相対化
5 同質性と異質性の閾
補論一 政治的オプティミストの弁明――ポスト・マルクス主義とプラグマティズム
1 はじめに
2 ポスト・マルクス主義とプラグマティズム
3 基礎付けへの二つの態度
4 プラグマティズムを徹底化すること
5 政治的作為へのオプティミズム
補論二 日常空間のために――マッシー=ラクラウ論争再訪
1 はじめに
2 空間の政治
3 マッシーとラクラウ
4 「空間化」としての政治
5 結びにかえて
第二部 不審者のデモクラシーに向けて
第五章 アゴニズムの隘路――シャンタル・ムフの闘技民主主義について
1 ラディカル・デモクラシーとは何か
2 シャンタ



