内容説明
1949年秋、ソルボンヌ大学に着任したメルロ=ポンティは、発達心理学の知見を批判的に取り込み、子どもの現象学ともいうべき講義を開始した。ピアジェ、ワロン、リュケ、クライン、ラカンなど関連分野を広範に渉猟したその講義は、子どもという存在を哲学史上初めて主題としたきわめて貴重な試みであると同時に、人間科学をより豊かにする可能性を秘めたものであった。メルロ=ポンティの後期思想にも繋がる重要講義を仔細に読み解く。
目次
第1部 子どもの身体と知覚(自己中心性から中心幻想へ―メルロ=ポンティのピアジェへのアプローチ;子どもの知覚―超‐事物・同時性・遍在性)
第2部 子どもの表現と対人関係(子どもの表現―メルロ=ポンティの児童絵画へのアプローチ;子どもの対人関係―情動性と発達の現象学)
第3部 児童精神分析との対話(性とエディプス・コンプレックスへの批判;ナルシシズムの再検討―「幼児の対人関係」講義の周辺から;攻撃性の現象学―クラインを読むメルロ=ポンティ)
著者等紹介
澤田哲生[サワダテツオ]
1979年、静岡県生まれ。パリ東(旧第12)大学クレテイユ校人文社会科学研究科博士課程哲学・認識論専攻修了(人文科学博士号「哲学・認識論」取得)。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得満期退学。現在、富山大学人文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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