出版社内容情報
医学生物学と政治社会学を横断する、バイオポリティクスの画期的分析。
内容説明
世界を妖怪が徘徊している、「病」という妖怪が。SARS、鳥インフルエンザ、AIDS、ES細胞、脳死、がん、ストレス…「生」を貫き強力に作動する政治力学、恐怖と予防を上昇させネオリベラリズムとも共鳴するその力の本質とは何か。医学生物学と政治社会学を横断する、気鋭による清新な分析の誕生。
目次
1 「感染」の政治学(アウトブレイクの社会的効用―SARS;防疫線上の政治―鳥インフルエンザ;グローバルエイズの政治経済学)
2 「生」のディスクール(「生」のテクノスケープ―ES細胞をつらぬく権力;「脳死」の神話学;病者の光学―視覚化される脳)
3 「恐怖」のイデオロギー(がん恐怖症;ストレスの政治学)
著者等紹介
美馬達哉[ミマタツヤ]
1966年、大阪生れ。京都大学大学院医学研究科博士課程修了。現在、京都大学医学研究科助手(高次脳機能総合研究センター)。臨床脳生理学、医療社会学、医療人類学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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フム
24
パンデミックが今後の世界をどう変えていくのか、考えずにはいられない。感染拡大防止に向けては人々の共感や連帯は不可欠であることに間違いはないとはいえ、やはり何かしらの不安は感じてしまう。「生権力」という言葉が浮かぶからである。筆者の文章を何かの記事で読んで、本書の存在を知った。第一章の「アウトブレイクの社会的効用」は2003年SARS危機について書かれている。当時はシンガポールや香港など限られた地域での流行に過ぎないと、あまり関心を持たなかったが、この時既に今回の世界的パンデミックは予想できたことであるし…2020/04/22
takao
1
ふむ2024/10/27
ゆきんこ
0
テクノロジーのもとでは、規律・訓練が個人によって内面化されることは必須でなく、逆に、個人の内部にある身体情報が外面化(サーモグラフィーによる監視システム等)され、監視のテクノロジーの直接的な対象とされる。2023/04/08