出版社内容情報
内容説明
これまで重視されてきた美的判断ではなく、対象にふれる際の人間の「注意」と「経験」に着目し、異文化における美的経験の理解も視野に入れた、平易かつ大胆、斬新な、美学へのいざない。美術館に行っても何も感じないと悩むあなたのための美学入門。
目次
第一章 美術館で迷子
第二章 セックス、ドラッグ、ロックンロール
第三章 経験と注意
第四章 美学と自己
第五章 美学と他者
第六章 美学と人生
第七章 グローバルな美学
著者等紹介
ナナイ,ベンス[ナナイ,ベンス] [Nanay,Bence]
アントワープ大学哲学的心理学センター教授
武田宙也[タケダヒロナリ]
1980年生。京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。博士(人間・環境学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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die_Stimme
4
原書を積読してる間に翻訳がでてしまった。ベンス・ナナイは共著の『なぜ美』以来、単著としては二作目の邦訳。ユニークなのは、美的判断ではなく持続的な美的経験に美学の中心テーマを見ている点だろう。そしてその美的経験というのは、注意の仕方によって大きく異なってくるものであり、対象だけでなく対象の質に注意を払うものであり、また、対象と経験そのものの関係にも注意を払うものである、と述べている。2025/03/02
Go Extreme
1
美術館体験:鑑賞者 美的経験 感情 判断 思考 美的経験:個別美的経験 美的判断 美的注意 自由な注意 セックス ドラッグ ロックンロール 快楽 注意と経験:集中した注意 しばりのない注意 感情と美的経験:感情 美的評価 思考と観察 美的判断:非注意性盲目 美学と自己認識:自己認識 文化的影響 社会的関係 美的関与:絵画鑑賞 音楽鑑賞 社会的美学:美的判断 価値観 多様性 グローバル美学:文化的相対主義 多様な視点 ジェンダー 文化間対話 文化的視点:美的価値 文化背景 文化的差異2025/03/17
xivia | ゼビア
0
一読。新たな「美学入門」書。西洋哲学ではなく世界哲学の運動を想起した。美的判断をすることは、やはり、楽しいことではないだろうか。美的判断をする過程で例えばそもそも美それ自体とは何か考えることが楽しい。私にとっては、美的関与と美的経験は、美的判断に比べそれほど楽しくない。「本書を読み終えたあとでぜひ覚えておいていただきたいことが一つあるとすれば、私たちは皆もっと美学的な謙虚さを持つべきだということです。」pp.180-1812025/07/01
So Honda
0
入門書ながら、判断に重きを置く西洋美学に対して批判的立場をとり、判断の前にある経験、そしてその経験の端緒となる「注意」の重要性を説いている。また、グローバルな美学として、個々の固有な文化への理解と普遍的な形式的特徴への注意の両輪が異文化への適切な美的経験をもたらすとしてうる。2025/06/06