出版社内容情報
プラトンシリーズ第7弾。古代ギリシアの演説の技術、弁論術をめぐってソクラテスがゴルギアスらと交わした対話篇。
内容説明
古代ギリシャの演説の技術、弁論術をめぐり交わした対話篇。人びとを説得し、自分の思いどおりに従わせることができるとされる弁論術の正体をあきらかにすべく、ソクラテスは、ゴルギアスとその弟子ポロス、アテネの若き政治家カリクレス相手に、厳しい言葉で問い詰め、論駁する。
著者等紹介
プラトン[プラトン]
427‐347B.C.。古代ギリシャを代表する哲学者。アテネの名門の家系に生まれる。師ソクラテスとの出会いとその刑死をきっかけに哲学の道に入り、40歳ころには学園「アカデメイア」を創設して、晩年まで研究・教育活動に従事した。ソクラテスを主人公とする「対話篇」作品を生涯にわたって書き続け、その数は30篇を超える。その壮大な体系的哲学は、後世の哲学者たちに多大な影響を及ぼした
中澤務[ナカザワツトム]
1965年生まれ。関西大学文学部教授。古代ギリシャ哲学を中心に、哲学・倫理学の諸問題を幅広く研究する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
79
哲学に興味を持ち始めた人や弁論術について考えたいこと人におすすめの本になっている!この本は読書友達からのすすめられた。ゴルギアスの弁論術の話を聞きに来たソクラテス。ゴルギアスが質問したい人と募りソクラテスが質問に対話が始まる。弟子のポロスやカリクレスも参加しながら話が進んでいく。当初は弁論術にどんな力があるかから始まり話は正義や善悪 政治体制など弁論術が使われそうなところの概念の話に行く。ソクラテスの対話って常に小さなことを積み重ねて相手に同意させながら最終的に大きな概念のところまでいく方法かと思った!2023/03/26
molysk
59
人びとを説得して、自分の意に従わせる弁論術の使い手ゴルギアスとその弟子たちに、論戦を挑むソクラテス。善と快は異なるもので、善の方が勝っている。快いことは、善いことのために為されねばならない。弁論術は相手に善を為す技術ではなく、ただ快を為す追従に過ぎない。強者が弱者を支配するために用いられる弁論術は、快楽のために欲望に奉仕する、放埓で不正な魂をもたらすものだ。自己と他者のあいだに友愛を生むために、善のために欲望を支配する、節度ある正しい魂を目指す。これが哲学の使命なのだ、とソクラテスは論駁する。2023/03/05
中玉ケビン砂糖
56
「よりわかりやすいほどよい」とは決して思わないが、これに関しては許しても、というかむしろ有効なのではないだろうか。初期対話篇のひとつとして一定の成果を見せるものの、結局はアポリアとして処理されてしまう存在感は『国家』『饗宴』などと比べれば薄い。だが様々な先入観を取っ払う意味で、砕けた口語訳を再読することには意味があるかもしれない。まず「善のソクラテスと悪のソフィスト」という認識の誤差。ソクラテス(厳密にはプラトン)が詭弁を弄して巨富を得ているソフィストに相対して論破し勝つ、2022/06/04
ブルーツ・リー
12
プラトンによる、ソクラテスの問答集。 1冊を通じて、ソクラテスは、「魂がより良い状態になる事」を目指せ、と指摘している。 快とか楽には、いいものと悪いものとがあり、それ自体が良いものではないとする。 一方で、快や楽に溺れず、常に魂を向上させる人生こそが、素晴らしい人生なのだと説く。 向上や善、という事がそんなに簡単に断言できるものなのかという疑問は残るものの、ソクラテスにとっては、魂をより良くする事が、生きる目的なのだという。 純文学も、同じく。快とか楽ではなく、人間としての向上をこそ目指す学問だ。2022/09/06
寒っ!!
12
ソクラテスが持つ絶対的な価値観と比べると対話相手の基盤が脆く,いいように弄ばれている感じがする。証拠も用いた上で時間をかけて裁判官に事実らしいと思わせる現代の裁判の弁論と解説によれば短い時間で言葉を用いて煙に巻く当時の弁論はどこまで共通点があるのだろう。2022/06/21