出版社内容情報
Sartre, Jean Paul[]
著・文・その他
伊吹 武彦[]
翻訳
海老坂 武[]
翻訳
石崎 晴己[]
翻訳
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
60
地元図書館より。貧乏人が貧困を把え直し、自らの貧困として引き受け、貧困が許しがたいものとなる人間世界の中に置き換えられる(17頁)。貧困者自らが当事者として、社会を変える主体になるには、どうすべきか? と思う。有名な、実存は本質に先立つ。言い換えると、主体性から出発せねばならぬ(39頁)とのこと。また、投企とは、主体的にみずからを生きること(43頁)。私も番組づくりで「投企」しています((-_-;))。個人的行為は全人類をアンガジェする(社会参加する、45頁)。また、自由は他人の自由に依拠し、他人の自由は2022/07/27
esop
59
もしも人類が生存し続けて行くとするならそれは単に生まれてきたからというのではなく、その生命を存続させようという決意をするがゆえに存続しうる/希望とは行動に対する最悪の障害である/身に起こることを受け入れるのではなく身に起こることを引き受ける/人間はみずからぬくるところのもの以外の何ものでもない/自由に存在するということ、投企として、すなわち自己の本質を選ぶ実存として存在することと、絶対であるということとのあいだに何の違いもない/2024/09/18
ももたろう
36
絶品。最高。とりあえず電撃の走った文章を引用。《誰を兄弟のように愛すべきか。戦士をか、母親をか。全体の中で戦うという漠然とした効用と、明確なある特定の人の生活を助けるという明確な効用と、どちらの効用が大きいか。誰がそれを先駆的に決定しえよう。誰も無い。既成のいかなるモラルもそれを言うことはできない。…感情の価値をどうして決定するのか。(神のように人間の行動を規程してくれる存在なしに)母に対する彼の感情の価値は何が与えるのか。それは彼が母のために残るという、まさにその事実なのである。→2015/12/24
Vakira
36
5年前に「嘔吐」を読み、その時は実存主義の実験小説とは知らず、サルトルの意図を理解していなかったと気になり、再読する前にこれを読んでみた。かなり丁寧に説明され、一部納得出来ない処があるが、概要は理解出来た気がする。基本的には神は存在しない事がこの主義の条件。例えば鉛筆がある。これは人が書く目的で作られている。神が人間を作ったとすれば人間は神のための目的があるはずである。しかし人間は生まれて来た時は意思もなく、未来は神が必然的(運命的)に決めるのでなく、自分自身で決めるのだ、自由である代わりにその責任を負う2015/03/14
彩菜
32
人間はまず存在しその後で自らの本質を創りだす。サルトルの人間は組織化された状況の中にあり、自身その中に結び付けられ、自身の選択により全人類と結び付き、それ故自身と共に万人に対し責任を持つ事になる。私は私を自由に創るが、私を選ぶ事で「人間」をも選ぶ。私を・人間を創る私の行為、だが拠り所とする人間の本質などないから私は他者に期待もできず、自身と万人の為に可能な事を全てやらねばならない。自身の他に立法者はなくしかし自身に閉ざされはしない、彼の思想は確かにヒューマニズムだが、その人間の持つ責任は何と孤独で重いのか2020/08/10