内容説明
湯月中尉は、照準器から「ドーントレス」の機体がはみ出さんばかりの距離まで接近し、「くらえッ!」裂帛の気合いを放つと同時に、機銃発射レバーを握り締めた。照準器など、もはや不要の距離であった。ドガガガガン!ズダダダダダン!第三分隊三機の仇討ちだ―との念を込めた必殺の20ミリ機銃弾、7.7ミリ機銃弾が、「ドーントレス」の機首から主翼にかけて、大小の穴を開けていく。20ミリ榴弾が炸裂した場所は、直径30センチ以上の穴が開いた。外皮のジュラルミンの破片、粉砕された内部の部品、そして、燃料からオイルまでが空中に飛び散った。次の瞬間、「ドーントレス」は、空中で爆発を起こし、オレンジ色の火球と化した。
著者等紹介
菅谷充[スガヤミツル]
1950年、静岡県生まれ。小学生のとき松本零士氏の戦記漫画に憧れ、航空戦記漫画を描き始める。高校時代から石ノ森章太郎氏に師事し、’72年『仮面ライダー』(原作・石ノ森章太郎)で漫画家デビュー。’83年『ゲームセンターあらし』で第28回小学館漫画賞受賞。’94年、近未来航空戦記『漆黒の独立航空隊』(有楽出版社)で小説家デビュー。以後、架空戦記と自動車レース小説を多数執筆
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