出版社内容情報
秘めた想いを届けます――
季節うつろう幕末の京都。伏見にある旅籠・月待屋には、不思議なほどに人の心を動かす手紙を書く代筆屋「懸想文(けそうぶみ)売りさま」がいるという。秘められた恋、切っても切れぬ親子の情、戦国の世にさかのぼる先祖の因縁――人々はそれぞれの想いを胸に、月待屋を訪ねる。京の四季と切ない人間ドラマをしっとりとした筆致で描く、人情時代小説。
〈目次〉
第一章 懸想文の男
第二章 母恋ひし人
第三章 血天井の城
第四章 饅頭喰い
第五章 伏見の酒
第六章 恋文の女
解説/桂 米紫(落語家)
装画/水口理恵子
内容説明
幕末の京都。伏見にある旅籠・月待屋には、不思議なほどに人の心を動かす手紙を書く代筆屋「懸想文売りさま」がいるという。秘められた恋、切っても切れぬ親子の絆、戦国の世にさかのぼる先祖の因縁―人々はそれぞれの想いを胸に、月待屋を訪ねる。うつろいゆく京の四季と切ない人間ドラマをしっとりとした筆致で描く、人情時代小説。
著者等紹介
花房観音[ハナブサカンノン]
兵庫県生まれ。京都女子大学中退後、映画会社、旅行会社などを経てバスガイドを務めるかたわら小説を執筆。2010年、第一回団鬼六賞大賞を『花祀り』で受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんぶん
23
【図書館】花房観音の珍しい官能場面が無い時代小説。 京都・伏見で代筆屋を行う琴の色々な客に纏わる人生の機微を京都の自然を交えて描く人情時代劇。 淡々と運ぶ観音氏の筆が嬉しい、時折交じる情念の匂いがすこぶる楽しい。 一応の解決を観たが、続編がありそうな雰囲気。 真魚の正体とか、まだまだ分からない事ばかり。 是非、続編を!2025/04/20
スリカータ
10
官能描写が全くない花房観音さんの新境地。幕末の京都が舞台。時代ものは苦手意識があったが、流麗ではんなりとした京言葉に引き込まれて、読みにくさを感じず。旅籠を営む気風の好い女将のお由井・真魚(まお)母子。琴という美しく謎めいた居候。今でいえば「手紙代筆業」の評判が広がり、様々な依頼が舞い込む。依頼は恋文、自分捨てた母への愚痴、幽霊宛、生き別れの息子など、よく練られた構成で飽きない。人情劇で終わらず、ひと匙の毒気が加わるのが花房観音さんの持ち味。真魚の父親とお由井とのかつてのロマンスを語る続編がありそう。2024/12/12
陽ちゃん
6
京都伏見にある旅籠月待屋の離れに住む琴は物知りで、月待屋の娘真魚にとって姉のような存在ですが、ひょんなことから、琴が「懸想文売り」として文の代筆をしたところ、心を打つ文を書いてくれると評判に。依頼主の本心を汲み取る琴の観察眼があってこそなんでしょうね。最終章で琴の来し方が明らかになり、取り敢えず一件落着、ですが、幕末の伏見を舞台にしたにしては、何事も起こらなかったですし、真魚の父親の件も微妙ですし⋯続くのでしょうかね。2025/01/06
ひるあんどん
1
黒船来航の少し後、京都伏見の小さな旅籠「月待屋」の人の心を打つ手紙を書くと評判の懸想文売り。旅籠の女将由井、その娘の真魚、賢いだけじゃなく洞察力に優れている懸想文売りの琴、懸想文配達人(?)佐助。好きだったのは仇討ちに来たけど侍に見切りをつけて酒屋の婿になる「伏見の酒」。どの話も面白かった。真魚の父親の謎は引っ張るのね。2025/04/23
ニコラス@ケンジ
1
エロが上手い人は 普通のドラマもうまいのだなぁと そう思った←何様 人が嘘をつく時 そういうのを見抜ける人になりたいなぁと思う2025/03/01